パーソナル性を求めるひとがターゲット

インテリアも同様で、ぼくが乗った「MスポーツX」(これが売れ線モデル)には、スポーツカーに似合うようなバケットシートが装着されていた。

素材は人工スウェードのアルカンターラ。イエローのステッチがSUV的でない。やはりSACということか。価格は515万円で、外板色や20インチの専用ホイールはさらにオプションだ。

ホールド性にすぐれたアルカンターラ張りのスポーツシート

からだのおさまりもよく、太めのグリップのステアリングホイールを握って走り出すと、加速性のよさもスポーティだ。

前輪駆動ベースのBMWに共通する、なんとなくレスポンスの甘めのハンドリングは好みが分かれるところだろう。ぼくは後輪駆動モデルのよりシャープな感覚が好みなのだが。

乗ったクルマは20インチという大きな径のタイヤを履いていて、そのせいか、乗り心地がややゴツゴツしていた。ロードノイズといっておそらくタイヤが路面と擦れたときの音も小さくなかった。

そこは快適さにおいて減点ポイントなのだけれど、それでもフツウのセダンやSUVから乗り替えてみると、明らかにファン(楽しさ)がある。

BMWファンにはおなじみの操作類がロジカルに配置された機能的なダッシュボード
ドライブモードが切り替えられるので反応がよりダイレクトになる「スポーツ」が楽しい

「BMWコネクテッドドライブ」といってiOS(iPhoneとかApple Watch)があれば、車外からリモートで空調を起動させたり、ドアのロックやロック解除が行える。

アップルマップを使ってスマート端末で目的地を検索して設定。クルマに乗り込んだとき、ブルートゥース機能でそのデータをクルマのシステムに転送することも出来る。

SUVが好まれてきたのは、セダンやステーションワゴンはおやじ世代のクルマ、という米国の若者の価値観が背景にあった。X2はさらにそこから進んで、よりパーソナル性を求めるひとをターゲットにしている。

SUVビジネスは確実に進化している。X2はそのよき証明なのだ。

小川 フミオ/Fumio Ogawa
慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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