受注好調のスズキ ジムニー【注目度】★★★

夏枯れという言葉は自動車界には無縁かもしれない。新車がどんどん登場している。昨今のヒットはスズキが2018年7月に発売した新型「ジムニー」だ。受注好調で、同社の株が値上がりしたのもニュースになった。

新型ジムニーはこれで4代目。初代が出たのが1970年なので、一般のモデルチェンジに較べるとスパンは異例に長い。しかもおもしろいのは、ラダー(はしご型)フレームに前後固定のサスペンションという基本的な成り立ちは不変であることだ。

ジムニーの四角い箱型の機能的なキャビンは初代からずっと継承

新型ジムニーは658ccエンジン搭載の軽規格の「ジムニー」と、1460ccの「ジムニー・シエラ」の2本立て。日本では前者がよく売れているが、海外では後者。なにはともあれラフロードでの走破性と、狭い林道などでの取り回しのよさで評価が高い。

ぼくが乗ったのは5段マニュアル変速機の ジムニーと、4段オートマチックのジムニー・シエラだ。ラフロードでは副変速機を使えば急勾配の岩場でも難なく走破。

新型にはブレーキを電子制御するシステムが搭載されている。急坂の上りでブレーキ圧を保持する「ヒルホールドコントロール」、下りでブレーキを自動調整してくれる「ヒルデセントコントロール」、さらに悪路で浮いてしまった片輪にブレーキ圧をかけ接地輪の駆動力を確保する「ブレーキLSDトラクションコントロール」といったぐあいだ。

もうひとつ特筆すべき点は乗り心地がいいこと。縦方向の突き上げが効果的に抑えられているので、ラダーフレームのクロスカントリー型4WD一般の、ゆさゆさするような乗り味ではない。乗用車的な快適さがある。

機能的なイメージを打ち出したジムニーのダッシュボードのデザイン

いま注文しても納車は2019年ともいわれるが、おもしろいのは、新規顧客の多くが「ジムニー以外のクルマからの乗り替え」(スズキの広報担当者)であることだ。従来のオーナーはいまのクルマでガマンしているということ? そのへんがジムニーに熱心なファンがいることの証左ともいえる。