乗り心地一新 ボルボV90クロスカントリー 【注目度】★★
V90はボルボのラインナップにおける最高級ステーションワゴンだ。ディーゼル、ガソリン、それにプラグインハイブリッドとパワートレインは3種類。「2リッター以上の排気量を持つエンジンは作らない」というのがボルボのポリシーで、そのぶん、というか、どのエンジンもパワフルだ。
そもそもクロスカントリーとは、ちょっと車高の高いステーションワゴンだ。通常のV90よりロードクリアランスがあるため、雪上など悪路走破性で勝り、せっかくの四輪駆動システムの恩恵をフルに受けることが出来るのがセリングポイントだ。
じつは一昨年までの同じモデルは乗り心地がお世辞にもいいとはいえず失望していたのだが、いまのV90クロスカントリーはフルモデルチェンジで改善されたようによくなった。しなやかで、かつ適度にスポーティ。運転に飽きることはない。
ぼくが運転したディーゼルエンジン搭載モデルは最大トルクが400Nmあり、全長4940ミリの大柄な車体だが、それでも加速性は充分以上だ。エンジンノイズ、風切り音、ロードノイズどれも低く抑えられていて、高速での音による疲労度は少ない。
SUVばやりだけれど、乗り心地でいえばセダンと、セダンをベースにしたステーションワゴンにはかなわない。その意味でもV90クロスカントリーは存在意義がしっかりある。トレンドに流されず、ベーシックなモノづくりを大事にすることの重要性。それを再認識させてくれるのが、このクルマだとぼくは思う。
小川 フミオ/Fumio Ogawa
慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。