【購入編】~誰しも昔はサイクリストだった
どんなロードバイクが自分に合っているのか分からない人は多いだろう。今回はさまざまなライドシーンやニーズに合わせて平山さんに自転車を選んでもらった。
――そもそも人はなぜロードバイクに乗るのでしょうか。
【平山】誰しも昔はサイクリストだったんです。中学生や高校生の頃を思い出してみてください。多くの人が自転車に乗っていたと思います。風を切って走るあの爽快感。大人になると便利さで乗り物を選んでしまうのでみなさん忘れてしまうのかもしれません。ロードバイクはあの爽快感を最大限に引き上げた乗り物なんです。しかも、走っている間は1人だけの時間で、前傾姿勢と疾走感が没入感を生みます。「動く個室」とでもいいますか、そんな環境もいいですね。私も毎日通勤で往復60キロ走っていて、仕事で新しくチャレンジしてみたい企画が思い浮かんだりもします。
――なるほど。せっかく買うならカッコいいのが欲しいです。ハイスペックはもちろん、デザイン性も優れていて、眺めてみるだけでも満足するようなロードバイクはどれですか。
【平山】ご希望にこたえて、1台目はイタリアブランドの「ピナレロ」から選びましょう。スタイリングといい、カラーリングといい、このブランドにはイタリアの職人の粋が詰まっています。当店は世界で4店のみのピナレロ専用ルームを設置しているので、多様なモデルを取扱っています。今回はその中から「プリンスFX」を紹介します。プリンスFXは材質には高品質と評判の東レのカーボンを使い、形状は空力を考慮したエアロタイプ※で、レースにも挑戦できるロードです。
※空気抵抗が少なくなるように設計されたロードバイクのこと。ロードバイクの敵である「風」の影響を少なくなることで、より速く走ることができる。
――いかにも速そうです。流線フレームが美しい。他にはどんなロードバイクがありますか。
【平山】2台目はアメリカブランドの「キャノンデール」が初めて出したエアロタイプ「システムシックス」も注目です。元々、フレームのしなりを推進力に変えるバイクづくりが上手いメーカーです。エアロタイプとしてはフレームが硬すぎないので乗りやすく、また制動能力の高いディスクブレーキの採用で、ライバルメーカーを凌ぐ出来映えになっています。システムシックスは油圧でスムーズにブレーキのワイヤーを引くことができます。
――これもレース車といった感じです。でも、今のところレースに出る気はないんです。エアロタイプは持て余しませんか。
【平山】レースに出なくても速く走れるからカッコよく見えるし、遠くまで少ない時間で着けるので体も疲れにくいですよ。それにエアロロードはそのスタイルがインスタ映えしますし(笑)。
【平山】もっと気楽に乗れるロードバイクをお探しなら、スイスブランド「スコット」の「アディクト・グラベル」はどうですか。グラベルロードという、オフロードも走れるロードバイクです。舗装路を想定したロードバイクよりもかなり太いタイヤが履けるので悪路もOK。もちろん舗装路で乗っても乗り心地がいい。油圧ディスクブレーキを付けているので、コントロール性能に優れています。
――林道などの未舗装路も走れますね。これはライドの幅が広がりそうです。
【平山】乗り心地で言えば、カナダブランド「サーベロ」の「C3」もお薦めしたいですね。サーベロはすべてのモデルがフラッグシップという考えで作り込んでくるメーカーです。なので、どのモデルも性能が高いんです。
【平山】後輪を斜めに挟み込むように伸びているシートステーを他ブランドでは考えられないほどに細く設計するといった革新性も持ち味です。C3は軽くてパワーロスを減らす設計が施され、やや太めのタイヤを履くことができるので、舗装路の走りで快適さを求めるなら最適な1台です。これも油圧ディスクブレーキを採用しています。