【カスタマイズ編】~ロードは「大人のプラモデル」だ!
ロードバイクは買って終わりではない点も魅力だ。買ってから自転車の本当の楽しみが始まるという言い方が正確かもしれない。どんなに高い自転車を購入しても、乗り込んでいくうちに、自分好みに仕上げる余地が生まれてくるのだ。所有欲を愛着に変えてくれるカスタマイズの魅力について聞いた。
――ロードバイクに長く乗っている人は、カスタマイズを楽しんでいるようです。カスタマイズの魅力は何ですか。
【平山】カスタマイズによって速く走れる、快適に走れる、より愛着がわくといった面は大きいと思いますよ。ロードバイクは「大人のプラモデル」と言われるほどに趣味性の強いジャンルです。たとえば同じ山道を走っていてもチューブを変えるだけで5秒、10秒とタイムが縮まり、それが体感できるのがいいんです。
――カスタマイズにも挑戦してみたくなってきました。でも費用が限られいます。先ずはどこから始めればいいでしょうか。
【平山】費用対効果の高いカスタマイズはタイヤ周りです。先ほど話したチューブとタイヤを替えると速さだけでなく乗り心地もよくなります。
【平山】あと、ホイールか駆動系のコンポーネント※か、どちらをグレードアップしたほうがいいかとよく聞かれます。同じお金をかけるならホイールの方が効果が出ます。ホイールを100グラム軽くするのはコンポを1キログラム軽くするのに匹敵すると言われるほどです。
※ブレーキや変速機のパーツセット。最も一般的なシマノ製はロードバイク用を7種類展開しており、サイクリストはレベルや目的に合わせてグレードを選ぶ。
また、速くならなくても自分好みの色のパーツに取り換えるのも楽しいですよ。ハンドルに巻くバーテープあたりから始めてはどうでしょうか。カスタマイズは自己満足世界なので自由です。
デキる男のライドにはサイクルコンピュータが欠かせない
GARMINのサイクリングデバイス、Edgeシリーズ
サイクルコンピュータはハンドルに装着することで、走行スピードや走行距離などを計測してくれるデバイス。高価なものになると地図が入り、道案内してくれる機能や、スマホと連動することで電話やメールの通知を受け取ることもできる。情報を一カ所に集約することで自分のライドに集中して向き合うことができる。
速度やタイムだけでなく、乗り手の身体能力やペダリングのバランスまで数値化することができる。カスタマイズの成果やライドの質を「見える化」し、分析することも可能だ。PDCAサイクルを回すことで、効率的にライドをレベルアップさせていく過程はビジネスエリートの働き方そのもの。ロードバイクは知的な乗り物なのだ。
【乗り方編】これさえあればとりあえず家に帰れる!
最後にロードバイクを始める人に向けて注意点をまとめた。
最低限守るべきなのは交通法規。具体的には車道を左側通することや、信号を守ること。安全を確保することはもちろん、「ロードバイクはマナーが悪い」という認識が広がれば、自転車文化そのものが廃れていってしまう。
安全なライドのために用意したいのがヘルメットとグローブだ。転倒したときは先ず手をつくので、グローブは手のケガの程度を抑えてくれる。また、グローブはハンドルからの振動を吸収してくれるので、疲労を軽減してくれる。
気を付けたいのは「ハンガーノック」という現象。サイクリングはカロリーと水分を消費する。それらを補給せずに走っていると急に足が止まって動けなくなってしまう。そうなる前に栄養補給用の食べ物や飲み物は必携。途中で買い足すためのお金も携帯しておこう。
パンク修理キットや工具、タイヤチューブなどの装備もマストだ。自分で修理できることに越したことはない。仮に自分で修理できなかったとしても、周りのサイクリストに助けてもらうときに持っていないと困る。
万が一に備えて、保険に入っておくことも重要だ。対人対物の補償に加えて、ロードサービス付きのプランもあるという。
text:Akifumi Oshita
photograph:Tadashi Aizawa