痛快な走り心地と居住性のいいとこ取り

メルセデス・ベンツA180に試乗した。活発な走りとハイテクで注目のモデルだ。

現在のメルセデス・ベンツのラインナップのなかでも最も若々しいモデルが、ハッチバックのAクラスだ。フルモデルチェンジを受けた新世代が日本で発売開始され、2019年1月に「A180スタイル」に試乗する機会を得た。

1.3リッターの4気筒エンジンを搭載する前輪駆動モデルで、ボディサイズは全長が4440ミリで、フォルクスワーゲン・ゴルフと比較すると155ミリ長い。

ゴルフより小さな排気量でちゃんと走るのかな? という疑問は、実際に試乗したらまったくの杞憂だった。最高出力100kW(136ps)と最大トルク200Nmという数値も大したものだが、ドライブフィールはかなりよい。

1331cc4気筒エンジンは100kWの最高出力と200Nmの最大トルクを発生し、7段ツインクラッチ式

まず低回転域から期待以上にしっかり力が出る。そしてこのエンジンは2500rpmを超えるあたりから、ぐんぐんトルクが湧きだしてくるような設定なのだ。エンジンを回して走るガソリンエンジンならではの楽しさが味わえる。

カーブを曲がるときの動きはしっかりと安定していて、かつステアリングフィールには上質感がある。ステアリングホイールは適度な重さを維持しつつ、切り込んだときの車体の反応がよい。車体は剛性感が高く、いっきに数段、上のクラスに上がってしまったような印象なのだ。

ホイールベースは2730ミリもあり後席も広びろ感がある

室内スペースは外観から想像する以上に余裕がある。後席もおとな2人に充分な広さで、使い勝手がよさそうだ。若いひとにはスポーティな雰囲気がウケそうだし、いっぽう家族で使うにも機能性は高いだろう。荷室の開口部が広がっているのも、メルセデス・ベンツが強調する点だ。

呼べば応える、音声会話システムもユニーク

航空機のタービンを連想させるエアアウトレットにスマートタブレットのようなインストゥルメントパネルが特徴的(写真はA180 Style)

安全運転支援システムは「Sクラスと同様」(日本法人のメルセデス・ベンツ日本)のものが用意される。加えて今回、「ハイ、メルセデス」という呼びかけで会話型の音声操作システムが始動するMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)を選ぶことも出来る。

「暑い」というと「温度を1度下げます」とか、「疲れた」というとアップテンポの音楽を一定時間かけてくれたりする。同乗者といっしょに楽しめそうだ。温度設定についてはとくに運転中はとりわけ重宝する。

ダッシュボードのデザインも新型Aクラスのセリングポイントだ。スマートタブレットを立てたようなデザインである。ベースモデルのA180は7インチのモニターだが、A180スタイルでは10.25インチのモニターとなり、MBUXの体験がさらに広がる。

キャラクターラインは極力減らして張りのある面が強調されている

価格は「A180」が322万円で、安全装備や快適装備が増えた「A180スタイル」が362万円である。加えて18インチタイヤなどの「AMGライン」も選択できる。エンジンバリエーションなどが今後増える可能性はあるが、メルセデス・ベンツ日本では未発表だ。

小川 フミオ/Fumio Ogawa
慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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