しまなみマジック!? 聖地の底力
1つ目はサイクルレーンが綺麗に舗装されていること。細いタイヤで走るロードバイクは少しの段差で転倒するリスクがある。地味なことのようだが、サイクリストなら頷いてくれるポイントだろう。
2つ目はサイクリストをしまなみ海道へ誘うブルーのライン。地図を見ずに景色やライドに集中できるのはありがたい。
極めつけは坂道横に設置された自転車歩行者専用道。自転車が坂道でフラついて自動車と接触するリスクを回避できる。こうしたサイクリストへのさまざまな配慮が心に染み入る。
全長約4kmの来島海峡大橋を渡る。心地良い潮風と景色を楽しんでいると地元の住人らしき人にママチャリで抜かれた。あまりの解放感と絶景で速度の感覚が狂い、自然とペダリングが遅くなっていたのだ。まさにしまなみマジック。聖地の実力を見せつけられた。
来島海峡大橋を渡り終え、「道の駅」よしうみいきいき館に到着。2時間ほどサイクリングした昼下がり、シクロの家で同胞から聞いていた海鮮バーベキューで浜風を感じながら空腹を満たした。
よしうみいきいき館では急流観潮船を運航している。この日は潮の干満の差が大きい大潮の日。期待を胸に海面を眺めていると、突如真横に大きな「八幡渦」が現れた。あまりの迫力に乗客からも歓声が起きる。渦はエンジンを止めた船が回転するほどの強さ。自然のダイナミズムを間近に体験できるとあって定番のスポットとなっている。
その後は宿泊先の「今治国際ホテル」へ直行。ホテルのエントランス前に設置されたバイクラックに駐車し、チェックインを済ませると「自転車はお部屋までお持ち込みください」という衝撃の一言。豪華なエントランスのふかふかな絨毯の上を自転車を押して歩くのは不思議な感覚であった。
今治市街をサイクリングしているとロビーにバイクラックを設置しているホテルをいくつか見かけた。施錠するとはいえ、高価なバイクを外に放置しておくのは心許ないからホテルの中に駐車できるのはありがたい。また、立ち寄ったコンビニにはバイクラックと空気入れが用意されていた。こうした“優しさ”もサイクリストのハートをがっちり掴んで離さない。
まさか、自転車と同じ部屋で寝るとは思いもしなかったが、日中共に汗を流した相棒を見ながらくつろぐ時間によってレンタルした自転車にも愛着がわくのだから面白い。