フォルクスワーゲンが日本でもディーゼル攻勢を開始した。2019年8月20日には「ゴルフ」と「ゴルフ・バリアント(ステーションワゴン)」にもTDIと呼ばれる2リッターターボディーゼルモデルが追加されたのである。

このところ、日本ではディーゼルの人気が高い。日本車ではマツダがほとんどのモデルにディーゼル車を設定して気を吐いているし、輸入車でも、コンパクトハッチバックから、大型セダンやSUVにまで、ディーゼルモデルがあり、よく売れているようだ。

フォルクスワーゲンも例外ではない。日本法人のフォルクスワーゲングループジャパンは、2018年よりディーゼルモデルの拡充に本腰を入れはじめた。

これまでに「パサート」「パサートバリアント」「パサートオールトラック」「ティグアン」「ゴルフトゥーラン」にディーゼルエンジンを設定し、今回のゴルフに加え、3列シートのミニバン「シャラン」にも、というぐあいである。

結果、フォルクスワーゲン車のセールスにおける5割はディーゼルが占めるまでになっているという。ティグアンにいたっては8割のユーザーがディーゼルを選んでいるそうだ。

1968ccのターボディーゼルユニットは110kWの最高出力と340Nmの最大トルクで前輪を駆動

ゴルフTDIに乗ると、たしかに、売れる理由がある、と感じられる。ごく低回転域での太めのトルク、高速での静粛性の高さ、燃費(WLTCモードによる計測でリッターあたり18.9キロだそうだ)と、いい点をすらすらとあげられる。

エンジンは1500rpmから上のターボチャージャーの領域で、力強い加速を見せる。加えて今回のゴルフは、剛性感が高く、シャープな切れ味を見せるステアリングが印象ぶかかった。従来のゴルフのふにゃふにゃした感覚がない。嬉しい驚きといえる。

現行のゴルフはデビューから7年も経っているから、そろそろ次世代へのバトンタッチのタイミングが訪れてもフシギではない。それなのに、今回のTDIに乗って、ゴルフはますます洗練度を上げているのに感心した。

高速では加速性もよく、足まわりも少し硬いとはいえ、乗り心地はけっして悪くない。長い距離を走っても、おそらく疲労度はかなり少なそうだ。運転が好きなひとが乗ったら、遠出をしたくなるのではないだろうか。

Meisterには座り心地のいいレザーシートやレザー巻ステアリングホイールが備わる
4リアシートは空間的に175センチの男ふたりでも窮屈でない

からだによく馴染む乗り味で、ゴルフはもう卒業したと思っているひとでも乗ってみたら、その魅力を見直すのではないだろうか。昨今は、ハッチバックの人気がやや衰えているのだが、市街地に多いタワーパーキングなど、SUVより便利であるのは事実だし。

乗ったのは最上級グレードの「ゴルフTDI ハイラインMeister(マイスター)」といい、液晶デジタルのメーターや、渋滞時追従支援システムなど、装備はしっかりアップデートされている。

MeisterにはTFT液晶モニターが搭載される

輸入車のハッチバックにはディーゼル搭載車が多いが、ゴルフはそのなかでも頑張っている。価格は323万円(10パーセントの消費税込み)からで、「バリアント」モデルだとそれぞれのラインで14万円高くなる。今回乗ったTDI ハイラインMeisterは391万円(10パーセントの消費税込み)だ。ゴルフを選んでも間違いない。

小川 フミオ/Fumio Ogawa
慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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