世界最高水準を指し示すカリテ フルリエ認証――ショパール Chopard
LUC第1作からジュネーブシール、COSCのダブル認証
1996年、キャリバーLUC1・96(現96・01‐L)が発表されたとき、それは時計業界にとって「事件」だった。誰もがショパールを名だたるジュエリーウォッチメーカーと認識してはいても、機械式時計のファインウォッチメーカーと位置づけている人など誰もいなかっただろう。そこにいきなり自社製キャリバーの発表である。
翌1997年にはそれを搭載してLUCコレクションの第1作「LUC 1860」を発表する。はなからマイクロローター型の自動巻きという難度の高いキャリバーに挑戦するのにも驚かされるが、しかも、COSC、ジュネーブシールと高級時計を証しする厳格な検査を通過、高精度と美観を認定されていた。その衝撃たるや、まさに“事件”だったのである。
以後LUCコレクションのほぼすべてがCOSC認定、なかにはジュネーブシールを取得するモデルもある。COSCのクロノメーター検定はムーブメントに日差マイナス4~プラス6秒以内という厳しい精度を求め、この認証は機械式スイス時計のわずか3%といわれる。ジュネーブシールはムーブメントに、伝統的な技法で最高の仕上げが施されているかどうかを細目に沿って検査。これまで主に美観の審査だったが、2011年の改訂からは歩度の精度、防水性、気密性、機能性など時計全般にわたって検査するようになった。
世界最高水準の厳格さ、カリテ フルリエの認証
LUCが高品質のトップクラスの時計であることは誰もが認めるところだが、ショパールは2004年、より厳格な基準「カリテ フルリエ」の公的認証組織をパルミジャーニ・フルリエ、ボヴェとともに立ち上げる。COSC認定は検査の前提、そのうえで耐磁性、耐衝撃性、生活動作シミュレーション時の歩度チェックなど、より現実生活に沿った検査になり、素材、装飾などの美的基準も厳しい。例えば歩度の精度は日差0~+5秒以内でなければならないなど公的な検査としては世界一厳しい基準となった。
LUCの代表的なカリテ フルリエ認証モデルとしては、2005年「LUC カリテ フルリエ」、11年「LUC トリプル サーティフィケート トゥールビヨン」、14年「LUC トゥールビヨン QF フェアマインド」、そしてここに取り上げた「LUC XPS ツイスト QF フェアマインド」などがある。技術的に、工芸的に最高品質を認定されながらも強く主張することもないのが、LUCの格の高さというべきか。
※本記事は『PRESIDENT』2017年6.26号に掲載された記事をweb用に再編集したものです。