ブランドイメージの世界共通化を急ぐ
「ピアジェのDNAは、ハイエンドなジュエリーとウォッチの両方を創造するサヴォアフェール(熟練の技術)を持っていること。どちらかが脇役ではなく両方が主役。この二面性をバランスよく、なおかつ継続的に発信し、グローバルで共通したイメージのブランドへと再構築していく」
一昨年、ピアジェのCEOに就任したのがこの女性、シャビー・ノウリさんだ。ブランドイメージの世界共通化を図るべく、この2年はジュエリーの打ち出しに取り組んできた。
ピアジェとはもともと時計のムーブメント製造工房を起源に持つブランドであり、それと同時にジュエリーセッティングや貴金属加工のサヴォアフェールを有するジュエラーとしての顔も持つ。日本ではピアジェというとジュエリーの印象が強く、ヨーロッパや中東でも同様だが、他方、中国や香港ではウォッチブランドというイメージが浸透している。そうした地域間のブランドイメージのギャップを埋めることが喫緊の課題だという。
薄型によるエレガンスこそがメンズピアジェの根幹を成す
男性用腕時計の観点からすると、ピアジェの歴史とは薄型追求の歴史である。薄型から得られるエレガンスにこそ、ほかと一線を画すピアジェらしさがある。代表的なモデルである「アルティプラノ」で薄型の世界記録を塗り替え、昨年にはケース厚2ミリというコンセプトウォッチを発表。薄型時計の第一人者であり続けようとする意気込みを示した。
「この時計で得られた技術・ノウハウは大きい。こうした蓄積が新しいエレガンスを生み出す糧になる。薄型を追求し続けること、そしてその技術を駆使して新しいエレガントウォッチをつくること、その両方に今後も取り組んでいく」
エレガントであるかどうか、彼女が判断を仰ぐのがピアジェ家4代目当主であり、ブランドの生き字引でもあるイヴ・ピアジェ氏だという。彼が認めるエレガンスこそが何よりのピアジェらしさだと語る。
text:d・e・w
photograph:Kazuteru Takahashi