Editor's Note

20世紀半ば、極薄時計の全盛期には「9P」と「12P」というキャリバーでその頂点に立ち、昨今では複雑時計の薄型化などでいくつものワールドレコードを打ち立てた。こうした機構開発の目的は、市場に向けて技術力をアピールする面ももちろんあるが、ピアジェの場合、開発の目的が“男のエレガンスをつくる”ことにも向いている。どれほど革新的で複雑な機構であろうと、分厚くなって悪目立ちするようでは野暮というもの。それを薄くドレッシーに見せることこそピアジェが追求したエレガントだった。2016年からはややスポーティーな「Piaget Polo S(ピアジェ ポロ S)」を展開するが、それとても上品さを欠くことはなく、ウォッチメイキングの根底には常にエレガンスがある。

創業年
1874年
創業地
スイス ラ・コート・オ・フェ
拠点
スイス ジュネーブ

Brand History

スイス・ジュラ山脈にあるラ・コート・オ・フェという小村で、1874年にジョルジュ=エドワール・ピアジェが自宅の一部に小さなムーブメント工房を設けたことに端を発する。最初はムーブメント製造のみだったが、その精密さが次第に評判となり、一流ブランドからのオーダーが相次いで工房は順調に拡大。1943年にはピアジェの名を記した時計完成品の製造も開始する。20世紀半ば以降は時計の小型化・薄型化の開発が盛んに行われた時代で、ピアジェはそこで頭角を現す。57年には厚さわずか2ミリという手巻きのキャリバー9Pを、3年後の60年には今度は自動巻きで厚さ2.3ミリというキャリバー12Pを発表。極薄時計のピアジェはここから始まった。
さらに1960年にジュネーブのジュエリー工房を傘下に収めると、極薄ムーブメントとジュエリーの技術を生かして女性向けのジュエリーウォッチを手がける。88年にリシュモン グループの一員となると極薄ムーブメントの伝統を掘り起こし、9Pと12Pの後継にあたる手巻きの「430P」と自動巻きの「500P」を開発。それらを載せた「アルティプラノ」や「ピアジェ エンペラドール」といった男性向けのコレクションを発表する。2001年、ジュネーブ近郊に時計製造工房を設立。2000年代の複雑時計全盛期にも単に複雑機構をつくるのではなく極薄を追い求め、トゥールビヨンやミニッツリピーターなどの機構を搭載した中で当時最も薄いムーブメントを開発した。こうした極薄開発の一つの集大成となったのが2014年発表のキャリバー「900P」。ムーブメントの地板とケースバックを一体化するという大胆な発想で、当時の手巻き時計としては最も薄いケース厚3.65ミリに至った。