ムーブメントをアート作品に変えるシャネルの美意識
シャネル・ウォッチの新しいアイコンと呼びたいのがレクタンギュラー形の四隅をカットしたような形状の「ボーイフレンド」だ。特にアールデコの美意識が貫徹した「ボーイフレンド スケルトン」はシャネルデザインの極みではないか。
かつてトゥールビヨンの大流行があり、回転するケージをあえて露出して見せるということがはやった。ケージでなくとも小窓を開けてテンプを見せるなどというのも一頃のブームだった。本来ケースの中に納まって姿形は見せないのがムーブメントの宿命だったが、シースルーのケースバックからムーブメントの装飾の美しさを見せるのは当たり前になっている。
しかしながら、ムーブメントをそっくりアート作品に仕上げるということがかつてあっただろうか。フレームの曲線、ブリッジの大小の円の連なり、針の直線。見え隠れする怪しげなギアの影……シンプルで力強い幾何学的な構成のコンテンポラリーアートが額縁に見立てられたケースに納まっている。ボーイフレンド スケルトンは今年また進化した。それが「X‐RAY(エックス・レイ)」だ。透明なサファイアケースがシルエットと化したアートを浮遊させる。
見せるならここまでやるのがシャネルらしさ
サファイア削り出しの透明なケースを携えた新作はまさにスケルトンの究極。ムーブメントのフレーム、ブリッジの陰影が浮かび上がっているかに見え、さながらX線写真のように見える。ムーブメントは自社製スケルトンキャリバー。55時間のパワーリザーブ。ストラップはインターチェンジャブル仕様。
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text:d・e・w