Editor's Note

誰もが想像する常識的な腕時計をアレンジするのではなく、メゾン特有のモードな感性をもって腕時計をゼロベースから発想し、つくり上げる。それがシャネルのウォッチメーキングの根幹といえるかもしれない。「J12」ではシャネルにとって重要なカラーであるブラックとホワイトを表現するためにハイテク セラミックの時計をつくり、「ムッシュー ドゥ シャネル」ではムーブメントの地板や受けの形からデザインし直し、サークルモチーフのコンテンポラリーな美観をも併せ持つユニークなキャリバーを創出した。十分にデザイン的でありながら時計本来の機能を外さない点が、美と共に機能性をも重視するシャネルらしい。

創業年
1910年
創業地
フランス パリ
拠点
フランス パリ

Brand History

ガブリエル・シャネルが、1910年にパリで「シャネル・モード」という帽子店を開く。15年にはフランス南西部のリゾート地ビアリッツに初のクチュールハウスをオープン。同年、ジャージー素材を使用したドレスなどのコレクションを発表すると瞬く間に話題となり、オートクチュールのデザイナーとして一躍注目を浴びた。その後も女性を窮屈なコルセットから解放する仕立てを採用し、かつては男性用衣服の素材だったツイード素材や喪服の色だったブラックを女性用ドレスに用いるなど、シンプルでありながら機能的、前衛的なスタイルを創出し、“女性の解放”の象徴として多大な支持を得た。
1971年、ガブリエル・シャネルが他界すると一時衰えを見せるが、83年にカール・ラガーフェルドがアーティスティック・ディレクターに就くと輝きを取り戻す。87年に八角形のケースが特徴の女性向けウォッチコレクション「プルミエール」を発表すると、2000年にはブラックセラミックのケース&ブレスレットをまとった「J12」で高級腕時計の世界に本格参入。続く03年にはホワイトセラミックのモデルを発表し、それ以前の高級時計には見られなかったブラック、ホワイトというカラーを打ち出してシャネル・ウォッチの個性を確立した。11年にチタンとセラミックを融合した新素材を、14年にシャネルにとって重要なカラーであるベージュにアレンジした18金素材を独自開発し、「J12」のラインアップを拡充。そして16年、「J12」に次ぐ2つ目の柱となる「ムッシュー ドゥ シャネル」を発表。ブランド初となる自社設計・製造のムーブメントや、伝統的なジャンピングアワー機構をモダンにアレンジした美観で注目された。