クラウン版「明治維新」をおこせ!

空力的なデザインだがもうすこし特徴が欲しかったリアビュー

「ここまで踏み込んだのは、クラウンの販売が落ち込んできたからです。(大政奉還をした)徳川慶喜になるな、明治維新をおこせ、と会社から言われて、新しいニーズに応えるクルマにしようと決心しました」

開発を総指揮した秋山晃チーフエンジニアは、試乗会会場でそう語った。

「シートのレザーの種類を自慢するより、自分はこのクルマが好きだから乗っているんだ、と心から愛してもらえるクルマを目指しました」

試乗会場で話を聞いたエンジニアが、笑顔で開発の主旨を説明してくれたのが、僕には鮮烈な記憶で残っている。

言うまでもなくクラウンはトヨタ最大のブランドだった。かつて「いつかはクラウン」というコピーとともに月販1万台を超えていたのはその証左だ。

しかし2010年代から台数は下降線をたどり、今回の月販目標は4000台と、かつてに較べるとだいぶつつましやかだ。

ここから新しいスタートを切ろうとするクラウン。価格を輸入車のライバルと比較すると、メルセデス・ベンツE200アバンギャルドが694万円、BMW523iが646万円なので、「G」と「RS Advanace」は割安だ。もっとも高い「G-Executive」でも718万7400円のクラウンの価格競争力は高い。

なにより旧弊にしがみつかず、後席用ウィンドウの後ろにもう一つウィンドウを持つ、いわゆるシックスライトのボディを(賛否両論あったそうだけれど)採用するなど、大胆な前進というのが好ましい。

他のビジネスでも、これは大いに参考事例になるのではないだろうか。

小川 フミオ/Fumio Ogawa
慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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トヨタ・クラウン


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