前回は働く男の緊急事態で使えるリカバリー術を紹介したが、本来は緊急事態に陥らないために日常的なケアを欠かさないことが望ましい。
藤村さんには「働く男の身だしなみポーチ」に入れておきたいお薦めのアイテムを6つ挙げてもらった。クライアントに突然呼び出されても動揺しないためのポーチの中を早速見ていこう。
唇のうるおい感が若々しさを演出
【藤村さん】唇は皮脂がほとんど出ず、水分保持能力が低いので潤いが逃げやすい部分です。リップクリームを携帯して、乾燥して皮むけしてしまう前に保湿ケアすることが肝心です。
中でもお薦めの商品はFIVEISM「リップディフェンス 03」。ポイントは色付きで瞬時に血色がよく見えること。塗布すると極薄くピンク色(商品カラー表記はレッド)が乗るので、唇がトーンアップしてより健康的な印象を与えることができます。
爽やかな息でチームワークを円滑に
【藤村さん】スメルハラスメントという言葉が広く知られるようになりました。臭いの問題はオフィスのコミュニケーションを停滞させ、ビジネスパートナーからの信頼も損ねます。私もスメハラ対策として毎日携帯するようにしています。念には念を入れて対策をしましょう。
この商品の良いところは小ささ。ポーチの中でもかさばらないので持ち運びが容易なのが嬉しいですね。直接舌に垂らして使います。水に混ぜてミントウォーターとして飲むこともできるので、どこでも使えて便利です。
名刺に代わる自慢の指先
【藤村さん】顔と一緒で手もほとんど衣服に覆われないうえに、手洗いなどで潤いが奪われる機会が多いので、一日に何度か塗るほうが良いですね。実は爪もすごく乾燥するので、指先まで丁寧に塗りましょう。手が乾燥していない状態の心地良さを知ってしまうと、女性のように頻繁に塗りたくなりますよ。
ロクシタンの「シア ハンドクリーム」はリッチなテクスチャーなのに素早く浸透してくれるのでベタつきがほとんど気になりません。ナチュラルで心地よい香りなので、周囲の人たちからの印象もいいはず。パートナーとシェアして使ってもいいですね。
整った眉毛と鼻毛でスキを見せない
【藤村さん】眉毛や鼻毛の中でふとした瞬間に一本だけ飛び出ていることに気が付くことがありますよね。そんなときでもポーチに眉はさみ・毛抜きが入っていれば安心です。しかし、毛を抜くという対処はお薦めしません。毛根へのダメージによって毛の質が変化したり、鼻毛の場合は傷から細菌が入ってしまうからです。基本的には切る、どうしようもないなら抜きましょう。
ポーラの「匠の美 眉はさみ・毛抜き」を選んだのは、抜群の扱いやすさ。眉はさみは軽くてさまざまな方向から切ることを想定した設計なのでとても切りやすいです。毛抜きは力を入れずに毛を抜けるのでストレスフリーに眉などを整えられる優れものです。
将来の若さは今から守る
【藤村さん】絶対に持ってほしいのが、日焼け止めです。日に焼けて褐色肌になるというのは日焼けの一側面にすぎません。紫外線は光老化と呼ばれるシミ、シワ、たるみやガンの原因になります。スキンケアというのは「洗う」「潤す」だけでなく、「守る」というところまでしないとスキンケアとは呼べません。ちなみに日焼け止めは汗やこすれなどで落ちてしまうので、一日のうちに何度も塗り直す必要があります。夏なら朝、出社時、ランチ前、帰宅前にそれぞれ塗るとしっかりカバーできるでしょう。
この「ボタニカル オイルコントロール&UVブロック」をお薦めしたい理由は、塗った後のサラサラ感です。余計な皮脂を吸着してくれる成分が入っていてテカり防止にも役立つので、清潔感のある肌に仕上げてくれます。
ビジネスシーンで印象を残す香り
【藤村さん】香水は自分のリフレッシュになるという人は使ってみてください。好みの問題です。ビジネスマンであれば、前よりも後ろ、上よりは下に塗布するように意識してください。首や手首などにつけると香りが前面に出てきてしまうので、日本のビジネスシーンには適さないかもしれません。背中や膝の裏につけることで遠くからさりげなく香らせることができます。
アクア ディ パルマは柑橘のスッキリとした香りで、たとえ香水に慣れていない相手でも嫌みがなく、爽やかな印象を持ってもらえることでしょう。これは5つの異なる香りがセットされているので、その中から自分の好みを見つけて。またミニサイズなので、ポーチに入れて持ち運びがしやすく便利です。
「男がポーチなんて持つものではない」と考える人もいるだろう。しかし、男性美容の広まりが示しているのは、性別に関係なく健康的で清潔感ある見た目が重要になっているということだろう。この潮流に逆らい自分自身のケアを怠ることで得られるメリットはないだろう。仮に自分をアジャストできなければ、それはマッチョな男性観に囚われているサインなのかもしれない。
今回紹介した6つのアイテムをすべて携帯するもよし、それぞれの悩みに応じて中身をカスタマイズするもよし。自分にとって最適な外出時のケアで、好印象を保ち続けてほしい。自分により自信を持つことができれば、きっとビジネスも好転するはずだ。
藤村岳/Gaku Fujimura
男性美容研究家
大学卒業後、生活情報誌に携わる。その後、独立し、シェービングを中心に据えた独自の男性美容理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動中。総合情報サイト『All About』にて「メンズコスメ」のガイドも務めている。数々のテレビ番組やラジオなどの出演のほか、コスメの開発・ブランドコンサルティング・講演・イベントなども行う。
男性美容研究所
text:Kotaro Matsumoto(PRESINDENT STYLE)