日本の“匠”と認められる職人が、その技術の習得に要する時間は6万時間といわれる。これは、1日8時間労働として、30年もの歳月を要する時間だ。

LEXUSが制作したドキュメンタリーフィルム「Takumi‐A 60,000‐hour story on the survival of human craft」では、日本の職人技に焦点を当てたユニークなフィルム。世界最古の建築会社“金剛組”に勤める宮大工、ミシュランガイドの2つ星を獲得した料理旅館“美山荘”主人、新進気鋭の切り絵アーティスト、LEXUSの品質検査担当といった、4名の日本の匠を追うドキュメンタリーとなっている。制作では、Netflixで配信中の人気ドキュメンタリー「Chef's Table」のクレイ・ジェター氏が監督を務め、世界各国でものづくりやAIの専門家とともに「AI時代に人の手を使うものづくりの『匠』は生き残れるのか」を論じる硬派な内容だ。

美山荘主人・中東久人さん
美山荘主人・中東久人さん
金剛組宮大工・木内茂男さん
金剛組宮大工・木内茂男さん
LEXUS田原工場 品質管理部・菅沼克章さん
LEXUS田原工場 品質管理部・菅沼克章さん

2018年にニューヨークで開催されたドキュメンタリーフィルムフェスティバル「DOC NYC」において、メディア向けに限定公開された54分の通常版でも見ごたえはあるが、さらにユニークな仕掛けがある。

通常版の各チャプター間に匠が技術を習得するまでに鍛錬を繰り返すことを表現するループ映像を加え、なんと計6万時間におよぶロングバージョンの映像をあわせて配信するというのだ。

それに先立って、青山にあるINTERSECT BY LEXUS ‐ TOKYOで行われたイベントでは、切り絵アーティストの小島奈保子さん指導の下、抽選で選ばれた参加者が切り絵を体験した。

元から好きなことには熱中できるタイプだったという小島さんは30年にわたる創作への意欲ついて「始めてからずっと変わりません。切り絵を仕事だとは思っていなくて、やりたいことをできる幸せを常に感じています」と語ってくれた。また、インスピレーションの源は「日常に潜んでいる美。たとえば、コーヒーの湯気」と繊細で独特な観点を披露してくれた。

「アーティストの人柄は作品に出る」という小島奈保子さんと「BYAKU(2013年 ロンドン)」
「アーティストの人柄は作品に出る」という小島奈保子さんと「BYAKU(2013年 ロンドン)」

創作のプロセスは先ず気になった対象を絵で描いてみて、心から気に入ったものだけを切り絵にするというもの。「100%好きじゃないと作れないんですよ」とこだわりを覗かせた。

通常版はAmazon Prime VideoやAmazon Instant、Google Play、iTunesなどの動画配信サービスで配信されるほか、6万時間のロングバージョンは専用ページで配信予定とのこと。匠が技術の習得を繰り返す様子を視聴しながら、自らの仕事を顧みるのもまた一興だろう。BGM代わりにいかがだろうか?

問い合わせ情報

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Takumi - A 60,000-hour story on the survival of human craft

text:PRESIDENT STYLE