自分のイメージに合う色調で選ぶ

腕時計もスーツもラインが美しくエレガントさが感じられるタイプが好みです。スーツの色はグレー系か紺系を着ることが多いですね。20代の頃は深緑のスーツを身に着けたこともあります。でも、あるときカラーコーディネーターの方から「あなたに似合うのはグレー系や青系です。茶や緑は似合いません」と言われ、自分でもそうだなと思い、それ以来、濃紺や明るめの青、グレー、チャコールグレーのスーツを選ぶようになりました。

パリで活躍するテーラー「KENJIRO SUZUKI」鈴木健次郎さんによるフルオーダー。フランスらしい気品や優美さが気に入っているという

その中から選んで着てきたこのスーツが、私の勝負服です。パリで活躍するテーラー「KENJIRO SUZUKI」鈴木健次郎さんに仕立ててもらった一着で、フランスらしい気品や優美さが感じられる服です。フルオーダーですから着心地は抜群です。銀座「和光」の受注会で出会い、二度の仮縫いを行い、発注から納品まで1年かかりました。できあがりを待つのも、スーツをオーダーする楽しみです。

スーツの色に合わせて時計のバンドは黒を選びました。文字盤の色はワイシャツの色と同じ白です。こんなふうにスーツと時計のバンドや文字盤の色を同系にすると、上手なコーディネートができると思います。

海外でも高級路線で

私が着用しているのは初代「グランドセイコー」の復刻版です。1960年の発売以来、グランドセイコーは見やすさ、美しさとその精度を極めることで、実用時計の最高峰として、国内では確固たる地位を築きました。いま力を入れているのが、グランドセイコーを中心とする高級ラインです。2017年にグランドセイコーを単独ブランドとして独立させました。

海外でもブランドの浸透を図っています。各種のイベントやインスタグラムなどの新しいメディアも活用しながら、グランドセイコーの世界観やブランドストーリーを発信しています。17年11月にはビバリーヒルズにグランドセイコー専門のブティックを開店し、売れ行きは好調です。今年3月にはソウルに2番目の専門ブティックを開きました。スイスの時計が強い欧州でもブティックの開設を検討しています。

イメージキャラクターにメジャーリーグで活躍している大谷翔平さんを起用しており、20代の若い人が買うケースも増え、イメージが変わってきました。そこに将来性を感じます。

愛用の逸品~ビジネスシーンに欠かせないグランドセイコー

私が勝負スーツに合わせるのは、1960年に誕生した初代グランドセイコーのデザインを復刻したモデルです。この時計が世界の時計有識者、記者、コレクターが審査員を務めるドイツの権威ある「ウオッチスターズ・アワード2017/2018」の「クラシック・スター」賞を受賞しました。世界の時計を愛する人たちから、美しさの追求が認められたのです。これでグランドセイコーというブランドに一層自信を持ちました。

服部真二/Shinji Hattori
セイコーホールディングスCEO
慶應義塾大学卒業後三菱商事を経て、1984年精工舎に入社。2003年セイコーウオッチ代表取締役社長、17年代表取締役会長兼CEO。10年セイコーホールディングス代表取締役社長、12年代表取締役会長兼グループCEOに就任。

text:Top Communication
photograph:Sadato Ishiduka