新作オーヴァーシーズに見る現代の美意識――ヴァシュロン・コンスタンタン VACHERON CONSTANTIN

「オーヴァーシーズ・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダー」。ムーンフェイズと永久カレンダーのモジュールを積み込みながらも、ムーブメントの厚さはわずか4.05mmと超薄い。レザーとラバーのストラップが付属。●ケース、ブレスレットは18KWG。ケース径41.5mm、厚さ8.1mm。自動巻き。845万円。ブティック限定販売。

ヴァシュロン・コンスタンタンの今年最大の話題は「オーヴァーシーズ」のリニューアルだ。オーヴァーシーズといえば「カジュアル・エレガンス」を標榜するヴァシュロンのスポーティーウォッチであり、アイコニックモデルである。

このオーヴァーシーズのオリジナルはブランド創業222年の記念の年、1977年にブランド初のエレガントスポーティーウォッチ「222」として誕生。そして96年にはブランドの一翼を担う「オーヴァーシーズ・コレクション」として発進する。2004年に一度、ブランドアイコンの「マルタ十字」をモチーフにしてデザインをリニューアルしたことがあったが、したがって今回は再リニューアルとなる。

今回のリニューアルは徹底して使い勝手を追求している。例えばイージーフィットシステム――ブレスレットのリンクを工具なしで簡単に数ミリ調整することで手首へのフィット感をより高めることができる。またブレスレット/ストラップのワンタッチ付け替えシステム――ブレスレットにレザーとラバーの二本のストラップが付属してセットとなっているが、これをワンタッチで付け替えができる実用的な仕組みを取り入れている。フォールディングクラスプと通常タイプの取り替えもまた工具なしで簡単にできる。

時計本体についていえば、デザインがベゼル周りなど整理されたために、シンプルでモダンなイメージになった。これまでアメリゴ・ヴェスプッチの帆船が描かれていた裏蓋は今回シースルーバックに替わり、「トラベル」をテーマにした時計らしく、方位図がデザインされた22Kゴールドの巻き上げローターを見ることができる。今回のリニューアルのために、三つのムーブメントが自社開発・製造された。すべてがジュネーブ・シールを取得。例えば開発に5年を要したという自動巻きクロノグラフのCal.5200は高級機の証しであるコラムホイールと垂直クラッチを備えている。二つの香箱を搭載し50時間超のゆとりのパワーリザーブを実現している。

※本記事は『PRESIDENT』2016年7.12号に掲載された記事をweb用に再編集したものです。