技術は薄型のために、エレガンスは薄型のために――ピアジェ PIAGET

「ピアジェ アルティプラノ」2015年に登場した厚さ4.65mmの883P手巻きムーブメントを搭載するフライバッククロノグラフ。ケース厚は8.24mm。手巻き式のフライバッククロノとしては世界最薄級。2015年のダイヤ巻きからシンプルなベゼルに。一般的にはアクティブイメージの強いクロノだが、このモデルはあくまでもエレガントだ。●18KWG。ケース径41mm。手巻き。アリゲーターストラップ。380万円。
「ピアジェ アルティプラノ」38mm900P。2014 年に発表されたCal.900P搭載モデル。ムーブメントの地板がケースバックを兼ねる。文字盤側にくるブリッジを美しくデザイン、メカニズムをエレガントに見せる。文字通り逆転の発想だ。こうしてケース厚3.65mm、世界最薄レベルを実現した。新作はPGケースと黒文字盤の組み合わせ。●18KPG。ケース径38mm。手巻き。アリゲーターストラップ。340万円。

ピアジェの歴史は「薄型」追求の歴史だといっても過言ではない。それは何よりエレガンスの表現のためだった。言うまでもなくムーブメントの厚みが小さければ、それだけケースは薄くすることができるが製造技術的には難度が高くなる。ピアジェには創業時はムーブメントのパーツ製造を、それからムーブメントのメーカーとして地歩を固めていったという歴史があり、それを実現する精密技術の蓄積があったのだ。名だたるブランドにムーブメントの供給を行ってきたことでもそれが分かる。

厚さわずか2ミリという手巻きムーブメントCal.9Pから始まった薄型の歴史は、汎用性の高い大ヒット手巻きムーブメントCal.430Pを経て、2014年頂点的な薄型に到達する。手巻きムーブメントCal.900Pがそれである。薄さを追求するあまりCal.900Pは常識を超えたアイデアで人々を驚かせた。ムーブメントの地板がケースバックを兼ねているのである。もはやムーブメントとケースが一体となりケース厚はわずか3.65ミリと世界最薄レベルである。

高度な技術と卓越したアイデアから創造される薄型ムーブメント。時計をデザインする上でも自由度は大きくなる。搭載したモデルは薄さゆえに優美さが際立つ。ピアジェにとって卓越した技術はエレガンスのためにある。ここまで薄さにこだわる高級時計メゾンはほかにはない。

※本記事は『PRESIDENT』2016年7.12号に掲載された記事をweb用に再編集したものです。