技術は薄型のために、エレガンスは薄型のために――ピアジェ PIAGET
ピアジェの歴史は「薄型」追求の歴史だといっても過言ではない。それは何よりエレガンスの表現のためだった。言うまでもなくムーブメントの厚みが小さければ、それだけケースは薄くすることができるが製造技術的には難度が高くなる。ピアジェには創業時はムーブメントのパーツ製造を、それからムーブメントのメーカーとして地歩を固めていったという歴史があり、それを実現する精密技術の蓄積があったのだ。名だたるブランドにムーブメントの供給を行ってきたことでもそれが分かる。
厚さわずか2ミリという手巻きムーブメントCal.9Pから始まった薄型の歴史は、汎用性の高い大ヒット手巻きムーブメントCal.430Pを経て、2014年頂点的な薄型に到達する。手巻きムーブメントCal.900Pがそれである。薄さを追求するあまりCal.900Pは常識を超えたアイデアで人々を驚かせた。ムーブメントの地板がケースバックを兼ねているのである。もはやムーブメントとケースが一体となりケース厚はわずか3.65ミリと世界最薄レベルである。
高度な技術と卓越したアイデアから創造される薄型ムーブメント。時計をデザインする上でも自由度は大きくなる。搭載したモデルは薄さゆえに優美さが際立つ。ピアジェにとって卓越した技術はエレガンスのためにある。ここまで薄さにこだわる高級時計メゾンはほかにはない。
※本記事は『PRESIDENT』2016年7.12号に掲載された記事をweb用に再編集したものです。