“陸海空”のロマンを載せて――アイ・ダブリュー・シー IWC
男のスタイルを主張する腕時計について語るならば、まず名前が挙がるブランドの一つがIWCだ。海に魅せられたダイバーのための「アクアタイマー」、磁場で作業を行うエンジニアに向けた耐磁時計「インヂュニア」、懐中時計の伝統が息づく「ポルトギーゼ」、地中海のリゾート地を彷彿させる「ポートフィノ」、レオナルド・ダ・ヴィンチの名を付した「ダ・ヴィンチ」、そして今年リニューアルが行われた航空用時計の「パイロット・ウォッチ」と、陸海空から着想を得たものをはじめいずれも明確なバックグラウンドを持つ六つのコレクションを展開。メカに強いだけでなく現代的にリファインするデザイン力にも優れ、スタイリッシュな男たちの支持を集めている。
「パイロット・ウォッチはわれわれの時計製造の歴史を伝える重要なコレクション。1936年に初代を、そして40年に軍向けに『マークⅡ』を製造して以来、つねに進化を遂げてきた。ただ、近年では時計機構の大半が発明し尽くされた感がある。今後はエモーションやストーリーをいかに時計に落とし込むかが重要になる」
そう展望するのはブランドCEOのジョージ・カーン氏。重要と語る時計づくりを体現するのがここに取り上げる二本の新作である。ともにフランス人の飛行士であり作家であったアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリのレジェンドをトリビュートしたモデル。視認性や堅牢性といったパイロット・ウォッチ特有の要件を満たし、男らしさにややエレガンスを加えたデザインが何ともいま風だ。ほかに50万円台のエントリーモデルからケース径55ミリの超大型モデル、新開発のワールドタイム機能を搭載したものなどもラインアップされ、空好き・飛行機好きを引きつけてやまない航空用時計の一大コレクションができあがった。
※本記事は『PRESIDENT』2016年7.12号に掲載された記事をweb用に再編集したものです。