優雅な遊び心があふれる――ルイ・ヴィトン LOUIS VUITTON

「エスカル スピン・タイム オトマティック チタニウム&ピンクゴールド」。インデックスの役割を果たすキューブには、それぞれ1と13、2と14のように、2つの数字と2種のモチーフがペイントされており、24時間式に時表示を行う。ダイヤル中央部の白いマーカーが付いたディスクで分を表示。ベゼルは18KPG製。●チタン。ケース径41mm。自動巻き。アリゲーター・ストラップ。参考価格553万円。〈ルイ・ヴィトン クライアントサービス〉
「エスカル ワールドタイム ブルー オトマティック ホワイトゴールド&チタニウム」。ダイヤル中心側から分表示ディスク、白黒に色分けされた時表示ディスク、そして外側2列の都市表示ディスクの3枚をリュウズ1つで操作できるワールドタイマー。都市のモチーフはハンドペイント。ベゼルは18KWG製。●チタン。ケース径41mm。自動巻き。アリゲーター・ストラップ。参考価格710万円。〈ルイ・ヴィトン クライアントサービス〉

時計のインデックスをキューブ状に仕立てて、それを回転させることで時表示を行うというユニークな発想。ワールドタイムの都市表示にカラフルなモチーフをあしらうというユーモアのあるセンス。このブランドのクリエーションにはいつも優雅な遊び心がある。老舗グランメゾン、ルイ・ヴィトンのことである。

高級時計製造に本格参入してからまだ十数年と年月は浅いが、その充実ぶりには目を見張るものがある。2002年、厚型でありながら優美な「タンブール」ケースを携えて高級時計の世界にデビューして以来、ダイヤル工場やムーブメント製造工房を傘下に入れながら製造体制の強化を図り、シンプルウォッチからトゥールビヨンやミニッツリピーターなどの複雑系まで独自にアレンジしたモデルを製造してきた。今年は高品質と美観の証しであるジュネーブ・シール取得のフライングトゥールビヨンも発表。ブランドの時計づくりの一つの集大成となった。

“独自にアレンジ”と前述したが、ルイ・ヴィトンのいずれの時計にも共通し、そして他ブランドと一線を画す独創性になっているのが旅というテーマ。もちろん旅行用トランクの製造を端緒とするブランドのオリジンに由来する。トランクでも腕時計にしても、高水準の技術と優雅な遊び心で新しい旅のスタイルを創出するのがこのメゾンに一貫するアイデンティティーだ。

※本記事は『PRESIDENT』2016年7.12号に掲載された記事をweb用に再編集したものです。