複雑時計進化形はユーザーフレンドリー――ヴァシュロン・コンスタンタン VACHERON CONSTANTIN
ヴァシュロンらしさは技術と芸術性双方の蓄積から
18世紀後半から19世紀、懐中時計の時代、ヴァシュロン・コンスタンタンは高度な技術でグランドコンプリケーションを多数製造し、一方でエナメル技法など工芸的な技法を駆使した芸術作品を残す。20世紀、腕時計の時代になってからも技術と芸術性に優れた時計づくりは変わらない。ジュネーブシールは技術と美観において品質の卓越性を公的に認証するものだが、ヴァシュロン・コンスタンタンは1901年に初めてこの認証を申請して以来、多数の認証取得モデルを製造してきたブランドである。
伝統的な価値を重視すると同時に現代的な方向性をも追求する姿勢はムーブメントの進化を押し進め、クラシックからアバンギャルドまでの幅広いデザイン、エステティクスを創造し続けている。
複雑時計はまだまだ進化する
そして2017年、ヴァシュロン・コンスタンタンは満を持してと言うべきか、超複雑時計のコレクションを発表したのである。
ヴァシュロン・コンスタンタンには「レ・キャビノティエ」と称する複雑時計のコレクションがある。18世紀の「キャビノティエ」と呼ばれたグランドマスターたちのように、時計の専門知識と技術に通暁した精鋭がつくるユニークピースのジャンルである。このチームが実力を遺憾なく発揮したのがここに紹介する超複雑天文時計、ユーザーフレンドリーなグランド・ソヌリ、そして美術工芸技法の専門家たちと組んだ天文工芸時計である。複雑時計を見慣れた時計専門家たちにとっても、これは驚嘆ものであり、ヴァシュロン・コンスタンタンの実力をあらためて思い知らされたのだった。
ヴァシュロン・コンスタンタンは一昨年、史上最多の57機能を搭載した超複雑懐中時計「リファレンス 57260」を創った。この開発から獲得した技術は大きく今回の新作にも生かされている。
※本記事は『PRESIDENT』2017年6.26号に掲載された記事をweb用に再編集したものです。