ENSO ANGOの特徴は分散型ホテルだということ。

分散型とは、ホテルそれぞれを分散することで街に溶け込み馴染ませ、地域に暮らすような目線から旅を楽しむことを目的としている、海外でも注目されている様式である。その土地のリアルな生活文化を体験し触れ合うことで地域活性化にも繋がるうえ、より充実した旅にすることができるという画期的な取り組みだ。

ENSO ANGOではその分散型に、クリエイターとのコラボレーションを実現。モダンシックと和、アーティストとの融合がとても魅力的に表現されている。プロデュースはアンゴホテルズで、内田繁を継承する内田デザイン研究所がディレクション、安藤雅信、安藤明子、寺田尚樹、日比野克彦、アトリエ・オイらとの共同作業だ。

モダンな和テイストはしっくり落ち着くもの

ENSO ANGOは京都の中心地、四条通りと五条通りに挟まれたエリア、麩屋町通、富小路通、大和大路通に散在する5棟のホテルの総称となる。5棟は共通のシンプルな外観を持ち、それぞれが街にスッと溶け込み地域になじんでいる。5棟それぞれのクリエイターとのコラボレーションは見事だ。

次から各棟ごとにその魅力を紹介していこう。

【ENSO ANGO FUYA I<麩屋町通I>】外から隔離、ギャラリーのような空間

和の格子戸は侘び寂びを感じさせる

町家をイメージしたFUYA I<麩屋町通I>は、陶芸家の安藤雅信氏のディレクション。ホテルはまさにギャラリーのようで、廊下やテーブルなどいたるところに陶芸作品を配置し、自然光と作品の融和で外の喧騒から隔離されたプライベート感に仕上がっている。

「町家らしさを残した建築だったので、そのまま生かしました。町家特有の陰と陽の光の効果、入り口は暗く、奥は明るくすることで、空間の広がりを感じさせるように。作品は“結界シリーズ”です。例えていうなら神社の鳥居。鳥居をくぐると、そこから聖なる空間になり、日々のことは忘れるという意味合いと同じようなイメージです。ラウンジはもちろん客室にも置くことで外界との雰囲気が変わるように考案しました」と安藤氏。