LEXUSが送迎! そして美術館でレセプション
LEXUSがオフィシャルパートナーを務める野外レストラン「DINING OUT」というイベントをご存じだろうか。年に数回、日本のどこかで数日間だけオープンする謎めいたレストランで、「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに、一流の料理人やクリエイターが地元の人と一体となって、食を通してその土地の知られざる魅力をゲストに伝えるプレミアムなイベントである。
過去には、2012年の新潟県佐渡島を皮切りに、大分県竹田市、愛媛県内子なで開催。16回目の開催地となったのは、本州最北端の青森県青森市。地元の人が「今が一番、山の緑が濃い季節だ」という7月7日、8日の二日間に渡って決行された。
チケットを発売するとあっという間に売れ切れてしまうという「DINING OUT」の人気の秘訣は、非日常的な野外レストランが楽しめるだけにとどまらないところ。LEXUSならではのもてなしで、空港には送迎車がずらり。ドライバー付きのLEXUSに乗って移動を楽しむことができるのだ。あらかじめ、どこで何をするというスケジュールを一切知らされないミステリーツアー的なワクワク感を味わえるのも「DINING OUT」ならでは。未知の体験に胸を躍らせ、優雅な乗り心地に寛ぎ、移動する時間すらも特別なものにしてくれる。
LEXUSがまず向かった先は、レセプション会場となった「青森県立美術館」だ。
「今回のテーマは『Journey of Aomori Artistic Soul』です。青森は個性的な芸術家を多く輩出した土地。その源流をこの美術館で味わっていただきます」
ホスト役の東洋文化研修家アレックス・カー氏による解説と乾杯に続き、美術館へ裏口から入って通常の順路とは逆をたどる特別メニューで、学芸員の解説を聞きながら、棟方志功、寺山修司、奈良美智らの作品を堪能。青森が生んだ芸術家たちの才能に酔いしれた状態で再びLEXUSに乗り込み、野外レストランの会場へと向かった。
いよいよ会場に! 陸奥湾を望む名刹の境内へ
ディナー会場となったのは、風情ある浅虫温泉の高台に建つ陸奥護国寺。石段を登って境内に足を踏み入れると、夕日の沈む陸奥湾を背景にテーブルを配した野外レストランが出現。一幅の絵のように美しい光景を目の前にしたとたん、料理への期待は最高潮に! 乾杯の前にアレックス・カー氏は言った。
「今日の料理はアートそのものです」
料理を担当したのは、魚介に特化したフランス料理店「abysse(アビス)」オーナーシェフの目黒浩太郎氏。若きスペシャリストが、陸奥湾の幸を匠の技で昇華させた魚介のフルコースで、ゲストを感動の渦に巻きこんだ。
いよいよ、プレミアムなレストランの開幕!
「今回、初めてこの土地を訪れて知ったのですが、陸奥湾の魚介は旨味も香りも豊かで個性が強い。驚きました。僕が食べて感動した味すべてをゲストの皆さんに届けたい」
そんな純粋な気持ちで目黒シェフが考案したスペシャルメニューはなんと18皿! レセプション会場でふるまわれた2種のフィンガーフードに続き、ディナー会場で芸術的な味わいの全16皿が続々と登場した。
多種多様な魚介のなかでも目黒シェフが特にその味に驚いたという、甘味の強いホヤは、リンゴ酢のクリアなソースをまとわせて。食感と香り豊かな天然のもずくは、多肉植物やディルオイルとともに昆布だしのスープ仕立てに。
また、ホタテは郷土料理である“貝焼き味噌”から着想を得て旨味の凝縮したスナックに仕上げ、濃厚なワタリガニのビスクには青森県民に愛されている"かやき煎餅"を浸すなどして、土地の素朴な味を見事なまでに芸術的な味わいに昇華。
料理を盛り立てる酒もすばらしかった。「六趣醸造」の長芋焼酎をベースにしたきゅうりとライムのカクテルや、「鳩正宗」の吟醸酒グラッパでつくる柑橘のカクテルに、日本酒やワイン。ペアリングの酒もすべて地元産を用い、目黒シェフは魂を込めて青森の美味を丸ごとゲストに味わわせてくれたのだ。
ディナーの終盤には予告なしに、静かな陸奥湾から美しい花火が打ち上げられた。芸術精神あふれる皿の数々に、感動的なサプライズ。夢かうつつか……。そんな幻想的な余韻を残したまま、「DINING OUT」は終わりを告げたのだった。
「DINING OUT」は地方創生のイベントだった
食を通してその土地の魅力を発信することを目的とした「DINING OUT」は、「地方創生」プロジェクトでもある。同イベントを主催するONESTORY代表の大類和樹さんによると、「浅虫温泉はその昔、北前船が寄港して栄えていた土地です。そのような賑わいを再び取り戻したいと、地元から熱烈なオファーがあって」開催に至ったという。
準備期間は、同イベント最長の2年間。野外レストランのサービスに従事する地元スタッフを育成したり、浅虫温泉のシンボルである湯ノ島が一番よく見えるスポットを探したりするために時間を費やした。会場となった境内は、樹がうっそうと生い茂っていたため、住職や地元の方々と相談し、海が一望できるよう50本ほどの大木を地元の協力を得て伐採までしたという。
たった二日間のためになんて贅沢な話だろうか。しかし、イベントの参加者によって青森の魅力はSNS等で発信され、会場となった境内はこれから浅虫温泉の新スポットになりうる。目黒シェフのレシピも自由に使えるようすべて公開されているというから、未来を担う地元の料理人たちの手によって新しい名物が生まれる可能性もあるだろう。
眠っていたその土地の本質的な価値を掘り起こす「DINING OUT」は、地域の未来に貢献する特別なイベントでもあった。
フランス最大の港町マルセイユにある三ツ星レストラン「Le Petit Nice」で修業。帰国後は「カンテサンス」にてガストロノミーの基礎と技を習得。2015年に「abysse」をオープンし、魚介に特化したフランス料理を提供。フランス料理界の若きスペシャリストとして注目されるトップシェフのひとりである。
「abysse」
住所:東京都渋谷区恵比寿1‐30‐12 恵比寿ヒルズ1階 TEL:03‐6804‐3846
text:Yoko Yasui