全機能が統合された力作クロノグラフ――パルミジャーニ・フルリエ Parmigiani Fleurier
2016年5月、パルミジャーニ・フルリエはブランド創設20周年を迎えた。時計師ミシェル・パルミジャーニの個人工房はスイスの財閥、サンド・ファミリー財団の歴史的な時計コレクションの修復・管理を通して、その長であるピエール・ランドルトの信頼を勝ち得、彼の勧めでブランドを立ち上げることになる。それが現パルミジャーニ・フルリエだ。
その後完全なマニュファクチュールを目指し、ダイヤル、ケース、ひげぜんまいを含む調速機・脱進機など部品製造メーカー、切削加工工場、ムーブメント製造など五社をサンド・ファミリー財団時計製造業者(MHF)として傘下に収める。記念の年の2016年、挑戦的な新作、また実験的なコンセプトウォッチを発表したが、その気になれば自社でどんなトライアルもできるマニュファクチュール体制があるからだ。
さて、ここで紹介したのは20周年記念ウォッチ「トンダ クロノール アニヴェルセール」。一体型のスプリットセコンドクロノグラフだ。ベースムーブメントにモジュールをあれこれ組み込むタイプのクロノグラフではなく、最初からすべての機構が統合され、地板に組み込まれている。卓越した技術が随所に光っているが、光るのは技術だけではない。驚いたことにムーブメントは何とKゴールド製。記念モデルにふさわしい華やかさだ。
※本記事は『PRESIDENT』2016年7.12号に掲載された記事をweb用に再編集したものです。