エレガントウォッチと聞くと、古典的な美しさをまとったシンプルウォッチを思い浮かべる人が多いかもしれない。20世紀初頭に栄えたアールデコをはじめ、クラシシズムに範を取った気品はまさに高級時計ならでは。長い歴史を有する老舗ブランドはそうした古典を尊重する傾向が強く、誕生から今日まで半世紀以上つくり続けられる名作も少なくない。

その一方で、今世紀に入ったころから、モダンな感性でエレガントウォッチをつくるブランドが多く登場している。ケースやダイヤルのデザインはもちろん、素材選びから独自の感性でつくり上げられたエレガントウォッチは新鮮で、その新鮮さがブランドのオリジナリティーにもなっている。

現代のビジネスパーソンには個性や感性が欠かせない。古典の美から脱して独自のエレガンスを創出した腕時計は、現代的な個性、先進的なセンスを象徴するアイテムになる。華やかなシーンでドレスアップという場合に、ジュエリーウォッチは躊躇しても、こんなエレガントウォッチなら臆せず着けられるはずだ。普段のジャケットスタイルに合わせていつもとは違うドレス感を味わうというのも、もちろんいい。

■オールブラックが放つこの上ないモード感
シャネル「J12 ファントム」

ケース、ブレスレットはブラック セラミック。ケース径38mm。自動巻き。65万5000円(税別)。2019年8月発売予定

シャネルの主要ウォッチコレクション、「J12」のデザインが今年リニューアル。一見どこが変わったかわからないが、ケース、ベゼル、ダイヤル……など、実に7割以上が変更され、マスキュリンなイメージからエレガンスの方向へとアレンジされた。最大の変更点はCOSC認証取得、約70時間パワーリザーブの自動巻きムーブメントへと変わったこと。写真のモデルは各種目盛りまでブラックに統一された「ファントム」。モードな美しさが一段と際立つ。

■アート的なデザインが感性の豊かさを示す
ウブロ「クラシック・フュージョン オーリンスキー キングゴールド」

18Kキングゴールドケース。ケース径40mm。自動巻き。ラバー・ストラップ。239万円(税別予価)。8月発売予定

現代美術のアーティスト、リチャード・オーリンスキーとのコラボモデル。腕時計をオブジェのようにとらえ、多面体のファセットケースを特徴とするモデルとして2018年にファーストモデルがローンチされた。2年目となる今年はダイヤルまでファセットデザインが施され、ウブロ独自のキングゴールド製ケースとのつながりを意識したデザインになっている。ポリッシュに仕上げられた多面体のケースがモダンでマニッシュな光沢を放つ。

■華やかなシーンから爽やかな場までカバー
センチュリー「プライムタイム スケルトン」

サファイアクリスタルケース。ケース径38.5mm。自動巻き。ラバー・ストラップ。58万円(税別)

卓越したサファイアクリスタルの加工技術を生かして時計製造を行うセンチュリー。貴金属ともジュエリーとも異なる、透き通るようなサファイアの輝きが印象的だ。今年は、12面のファセットケースにスケルトン仕様の自動巻きムーブメントを備えたメンズモデルが登場。ダイヤル外縁のチャプターリングをイエローに、ストラップをラバーにするなどして、エレガントでありながら軽快感もあり、爽やかなジャケットスタイルなどにも合わせやすい。

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