コレクション最大の特徴はデザインにある。デザインソースとなったのは、およそ40年前に現ショパール共同社長のカール‐フリードリッヒ・ショイフレが初めて手がけた、「サンモリッツ」というコレクション。そのデザインをこのたび、エレガントでスマートな方向にモディファイした。「アルパイン イーグル」というネーミングは、マッターホルンやアイガーなどの名峰を擁するヨーロッパ・アルプスと、そこを悠々と飛翔するワシのイメージに着想を得たことを示している。
ケースは一般的なラウンド形でありながら、幅広のベゼルとそれを留める8つのビス、リュウズガードと対を成すように設けられたケースサイドの張り出し、さらに太めにデザインされたハンドやインデックスなどが相まって、しなやかでたくましいデザインへと仕上げられた。ダイヤルには緩やかにカーブを描くサンバースト仕上げが施されているが、これはワシの虹彩をイメージしたものだという。
もう一つの特徴が、ケースやブレスレットに使われている素材にある。ステンレススティールにはルーセント スティール A223という素材が初めて使用された。これは改鋳によって生成された素材で、一般的なステンレススティールの1.5倍ほどの硬度(ビッカース硬度223)を有し、均質な結晶構造を持つため光度が高い。ポリッシュ仕上げが生み出す美しい輝きがステンレススティールモデルとは思えないエレガンスを放ち、サテン仕上げとのコントラストも高級感を醸す。
今回の「アルパイン イーグル」コレクションは、ケース径36mmと41mmの2サイズ展開で、ここで取り上げたルーセント スティール A223製ケース以外に、確かな産地とルートから調達したエシカルな18Kローズゴールドモデル、スティールとゴールドのコンビモデル、さらにベゼルにダイヤモンドをセットしたモデルなど、全10型をラインアップ。すべてのモデルがショパール自社製のムーブメントを備え、COSC認証取得のクロノメーターとなる。デザインのみならず内部機構の品質にも抜かりがない。
また、このコレクションの発表と同時に、アルプスの環境保護を目的とした活動に取り組む「イーグルス ウィングス ファンデーション」の創設メンバーになることが発表された。環境に配慮した時計づくりに意欲的に取り組むショパールらしいコミットメントだ。
text:d・e・w