第十九回「ジャケパンスタイルがイマイチ問題」

「上手く着崩せなきゃスーツの方がマシ」

【A】ここのホテルランチ、気に入った~♥

【K】メインディッシュもビュッフェも堪能したわぁ。東京を一望できる景色も最高よね。

【A】レストランまでのアプローチも素敵。ほら、こうやって館内を歩いているだけでアートが目に飛び込んでくる。

【M】確かに。この空間、感性を刺激されるわよね。あれ、あのソファーに置いてあるジャケット、忘れ物かしら?

【K】オブジェじゃない?(笑)

【M】確かに。ってそんなワケないでしょっ(笑)

【A】なんだか無造作にバサ~と置かれていても絵になるジャケットね。素材感がただのジャケットじゃなさそう、触ってみたい……。

【K】海外雑誌のワンカットみたい。あ、持ち主が取りに来たみたいよ。

【一同】……。

【A】ちょっと、今の人、颯爽と羽織って行ったけど(笑)。ジャケパンスタイルがあんなに上手い人、なかなかいないわよね。ともすれば、オジさんくさくなりがちなスタイルじゃない? スーツでいいじゃない! って思っちゃうこともある。

【K】わかる! 上下バラバラ感があるコーディネートとかね。だけど、今の人のジャケットって、店頭に並んでいたらちょっと手に取りづらくない? ベージュの格子柄よ? 一見コーディネートが難しそうなのに。

「一見難しそうなアイテムでも、ポイントを押さえれば簡単&お洒落」

「カルーゾは、元々ラグジュアリーブランドのクローズを生産してきた実力派ファクトリーで、今バイヤーたちが最も注目しているブランドではないでしょうか。こちらは、バタフライというモデルなのですが、その名の通り驚くほど軽やかな着心地です。副資材を極力なくし、職人の縫製技術で立体感を持たせています。ラフでありながらも品格を感じさせつつ、さらに細見えするシルエット、これはまさにカルーゾの技術力の高さを物語るジャケットです」(エストネーション 佐藤さん)
「ジャケパンスタイルならば、素材を少しラフめな雰囲気にして遊びを入れていただくと、こなれている感じが出ます。とはいえ、こちらはハリのあるウール素材であり、フラワーホールなどの細部にまでこだわって仕立てていますので、品を損なうことはありません」(エストネーション 佐藤さん)

【M】上下バラバラ感ね、ありがち(笑)。ジャケットはこれからの季節マストになるから、さらにバラバラ紳士の出没率が高くなるはず。季節感の違う素材を組み合わせるとそうなっちゃうのよ。あとは、色の合わせ方や柄の合わせ方ね。今の人のような個性のあるジャケットでも、インのニットとパンツを黒や濃いめのブラウンなどダークカラーでまとめれば、ジャケットを際立たせることができて、ちょっとモードっぽくなるのよね。もちろん靴も合わせてね。

【A】ほんと、際立っていた! 単体で見ると、ベージュ? 格子? ってなるけど、合わせるアイテムをシンプルにすれば良さを発揮できるものなのね。

【M】白Tシャツにリジッドデニム(生デニム)など濃い色のデニムをあわせるのもあり。週末のちょっとしたディナーやパーティにも使えるわね。ベージュは意外とどんな色にも合うから、トーンのバランスも取りやすいの。おまけにリッチでエレガントな雰囲気を作ってくれる便利な色でもあるわ。

「 ベルヴェストも創業当初よりラグジュアリーブランドからOEMを手掛けてきた名門ブランドです。ベルヴェストはイタリアっぽいシルエットのものも多いのですが、こちらは16SSよりスタートしたベルヴェストのカプセルコレクションのラインで、身幅をゆったり取りつつも、ウエストを絞ったシャープでスタイリッシュな印象のシルエットで、70年代のアーカイブからインスパイアされたデザインになっています。太めのラペルやヴィンテージ感漂う生地を採用し、現代的なパターンでクラシック回帰や英国調など昨今のトレンドにもマッチするコレクションです」(エストネーション 佐藤さん)
「昨今のカジュアルなスタイルにも馴染み易いジャージニット素材なのですが、しっかり馬の毛芯が入っておりますので着崩れしない上、高品質とわかる立体感が魅力です。私どもをご利用してくださるお客様は、着心地や動き易さを重視される方が多く、こちらは大変人気ですね。裏地や、内ポケットに遊び心があるのもポイントです」(エストネーション 佐藤さん)

【K】そう考えると、ジャケパンスタイルはスーツと違って組み合わせが無限にあるからコーディネートの幅も広がりそうね。Tシャツ、ニット、デニムシャツ……

【A】まさにそうね! 昨今はビジネススタイルも多様化してカジュアルに傾いてきているから、あんな風にジャケットを上手く取り入れることができれば、オフィスでもひとり勝ちなんじゃない?

【M】良い意味で浮いちゃうかもね(笑)。ビジネスシーンであれば、ジャケットが淡い色なら、ボトムスはダークカラーにした方が無難かな。全体的に安定感が生まれるから。ラグジュアリー感のあるジャージー素材のジャケットとかもいいわよね。あんまり好きじゃない取引先でも、そんな着こなしをしてたらちょっと見方が変わるかも(笑)。プライベートで行く船旅なら、ベージュのジャケットに白パンスリッポンがカッコいいけどねぇ。

【A】素敵~。まさに成熟した大人の男性って感じ。オーシャンブルーをバックに軽やかに羽織る姿が見えた。あれ……、さっきの人、軽やかに羽織っていたわりに、なぜかペラペラ感がなかったな。

【M】それはもう、素材と縫製のなせる業ね。特に裏地無しでのあの立体感。職人の技術の高さがうかがえるわ。そのあたり、イタリアブランドが上手いなって感じるの。緩さ、優雅さ、スタイリッシュさを上手く融合させているのよ。

【K】お高そうね(笑)

【M】技術のわりには、リーズナブルと感じるお値段よ。

【A】そうね。高く感じるか感じないかはあなた次第……ってところね(笑)。あんな素敵なジャケット、夫にもラフに品よく優雅に羽織ってほしいわ~。

【今回ご協力いただいた方】

エストネーション メンズPR 佐藤浩貴さん
プレスルームに通された私たちの前に、颯爽と現れた佐藤さん。一瞬モデルさんと勘違いしたほど、スタイルもスタイリングも抜群。その見た目とは裏腹に、親しみやすい笑顔と口調で分かりやすく紹介してくださった最新クローズに、スタッフは感嘆とため息を繰り返しでした。

【男の身だしなみ向上委員会 by re*colabo】

<委員会設立の趣旨>
今の時代、仕事をする上でどれだけ女性の心を掴むかというのは大きなアドバンテージ。そこで、男性の身だしなみを女性たちは実際にどうみているのかを、女性ファッションライターの目線から本音で語ります。身に付けるものは、本人のイメージを左右する重要なファクターであり、気付いていなかったことを改善することにより、改めて身だしなみを整える一歩になれば嬉しく思います。

re*colabo
女性誌出身のクリエイティブ&ライターチーム。これまでに光文社「STORY」、講談社「フォルツァスタイル」など数々の媒体や、書籍で執筆。また、航空会社のオリジナル商品を手掛けるなど、女性ならではの視点で多くのヒット商品を生み出している。その他、女性の心を鋭く分析するマーケティング調査が人気であり、大手化粧品会社ほか、さまざまな企業から依頼を受けている。

マリ(中央)
re*colabo代表。ファッション系出身ライター。「大人だからできる」シックなコンサバを推奨。内面を映すスタイリングに定評あり。

クミ(右)
元バンカーの生真面目ライター。ファッション、グルメ、トラベルなど多岐に渡り執筆。シンプルで「カッコいい」装いが得意。re*colaboで一番マナーやルールに拘りあり。

アキ(左)
人物取材が得意。10代半ばから20代後半まで、フランスとアメリカへ留学。結婚を機に夫の転勤に伴いアメリカにて駐在妻を経験。帰国後ライターに。

photograph:Ayako Nakamura
text:re*colabo