昇進や異動で環境が変化したり、それに応じて新しい人と出会ったりと、春は何かと気ぜわしい。しかし、そんなソワソワした気分を表に出してはエグゼクティブ失格だろう。ここはひとつスーツを新調し、あるときは貫禄を、またあるときは打ち解けやすさを、といった具合に自身の印象を演出したいもの。春のファッション特集で取り上げた6ブランドの第一印象を決めるスーツをあらためて見比べてほしい。
印象つくるスーツスタイルを一挙公開!
ファッションディレクター・青柳光則さんにスタイリングをしてもらったスーツスタイル。どのような印象を相手に与えたいのか、その狙いに応じた色柄や素材などを選んでもらった。いつものスーツに加えて、これらの中から今の自分にフィットする一着を探してみてもらいたい。
【dunhillの正統派スーツで、重厚感と貫禄を印象付ける】今も昔もスーツスタイルで貫禄をアピールしようと考えるのであれば、英国仕立てから選ぶのが正解。とりわけベスト付きの3ピースモデルは、胸元が引き締まって見えることもあり、理想のひと揃えといえる。 スーツ43万5000円(メイドトゥメジャー仕立て上がり価格)、シャツ3万1000円、タイ2万3000円、チーフ1万5000円、バッグ14万2000円/以上、ダンヒル 価格はすべて税別
【Ermenegildo Zegnaのライトな色味で品の良さを印象付ける】淡いカラーのスーツはノーブルな清潔感をアピール。単色使いだとやや平板だが、細かい柄を選んでシックな落ち着きを感じさせている。アクセントとなっているのはシアサッカーのシャツ。トレンドを取り入れた感度の良さを表せる。 スーツ30万7000円、シャツ6万2000円、タイ2万9000円、バッグ11万9000円/以上エルメネジルド ゼニア 靴9万9000円/エルメネジルド ゼニア クチュール 価格はすべて税別
【MACKINTOSH LONDONの機能性スーツで、爽やかさを印象づける】昨今は機能的なハイテク素材のスーツが豊富。しかし化繊素材は、どうしてもスポーツ的なカジュアルさが滲み出る。マッキントッシュ ロンドンの“ウェザー ウーステッド ウール”は100%天然ウールだから、若々しくも品行方正なルックスとなる。 スーツ9万円、シャツ1万3000円、タイ1万4000円、コート16万6000円、バッグ2万9000/以上、マッキントッシュ ロンドン 価格はすべて税別
【HACKETT LONDONの淡色セットアップで、打ち解けやすさを印象づける】威厳やステイタスを匂わせるだけがスーツの役割ではない。この一着は折り目正しい英国スタイルに加え、ライトトーンかつ複数の色糸を使用した生地のため、成熟した余裕をも感じさせる。羽織るだけで打ち解けやすい第一印象の一歩になる。 ジャケット11万円、トラウザーズ4万円、シャツ2万7000円、タイ1万8000円、チーフ6000円/以上、ハケット ロンドン 価格はすべて税別
【HICKEY FREEMANの本格スーツで知的で堂々とした態度を印象づける】男らしく堂々とした雰囲気は胸周りやショルダー部分に表れる。きちんと芯地やパッドを昔ながらの縫製で据えた一着でないと、この凛々しさは出ないもの。ビジネスシーンにて威厳をしっかりアピールする場合は、スーツもしっかり構築的に仕立てられたものを選ぶのが正解。 スーツ39万円、シャツ2万9000円、タイ1万8000円/以上、ヒッキー・フリーマン 価格はすべて税別
【Brooks Brothersで自由にしてオープンな感性を印象づける】昨今の時代性を装いに反映させる意味で、カジュアルなスーツスタイルを用意しておくこともひとつの手。リゾートおよびスポーツジャケットなどに多い縫い付け式のパッチポケットは、ドレス系のフラップ&ウェルト式ポケットに比べて開放的な雰囲気。フレッシュなルックスとなる。 スーツ13万円、シャツ1万3000円、タイ1万2000円、バッグ7万4000円/以上、ブルックス ブラザーズ 価格はすべて税別、チーフはスタイリスト私物
text:PRESIDENT STYLE
styling:Mitsunori Aoyagi(Hamish)
photograph:Ryohei Watanabe
hair & make:Akira Nishihira
model:Kenji Kureyama