第二十二回「昭和感漂うベスト問題」

「ジャケットVゾーンの新顔が登場!」

【K】たまには仕事中に銀座でランチなんていいわね。

【M】本当に! 開放感あるわ~。仕事中っていうのがさらにいいわよね。何食べる?

【A】そうね~、じゃあアルマーニの秋の新メニューとか?

【K】それはナイスチョイス。旬のものを食べなきゃね。それにしてもお昼からラグジュアリーなんて素敵すぎる!

店内

【A】え~っと、やっぱりお肉かなあ、お昼なのにワイン飲みたくなっちゃう。

【K】ねえねえ、あそこに座っている紳士、え? 何だろう、ジャケット着ているのにVゾーンがよく見えないけど、なんだかお洒落っぽくない?

【M】どれどれ? あ、ベスト着ているんじゃない? あれはきっとニット。ちょっとお洒落に見えるわね。

【A】ニットベスト? なんだか懐かしい。スーツの三つ揃えのベストはビジネスマンっていう感じで素敵だけど。それにしてもジャケットにニットベストならV開きのイメージしかないな。ジャケット脱いだらすごくオジさん感のあるニットベスト……。昔、父が着ていた記憶があるけど結構昭和っぽいわよね。でもあの人が着ているのはどうも違うみたい。

「裾部分が太めのリブでキュッとしまっているときちんと感がありだらしなく見えないんです。ストレートだとブレザーからニットがはみ出ている学生を想像させてしまいます。フラットに見えがちなジャケットにテクスチャーのあるウールニットを合わせるとこなれ感が生まれます。」エストネーション佐藤さん

【M】そうね、今はニットの丸襟がちょっとトレンドみたい。襟がかなり詰まった感じ。ネクタイは結び目のノットだけを浮かせて見せるのが今どきって聞いたことあるわ。

【K】なるほど、その着方ね。だからちょっと新しく感じるのかも。これ、若い人だけじゃなくって、ミドルエイジの人たちもニット一枚でトレンドを少し意識した装いができるならいいわよね。あのグレーのジャケットに濃淡をつけたグレーのベストっていうのがまたニクいな。

【A】あ! ご飯食べて暑くなったみたい、ジャケット脱いだわよ。

「少し幅のある襟ぐりが新しい印象に。柔らかい素材感とネクタイのノットの異素材の組み合わせが新鮮。」エストネーション佐藤さん

【K】なるほど、ジャケット脱いだら随分と表情が変わるのね。意外と少しローゲージ。それもピリング(毛玉っぽい)タイプよ。意外と攻めているわね。これはこれで可愛い。ウエリントンのメガネとか一緒に掛けたら一気に注目されちゃうわね。

【A】それはかなりお洒落度高いわね。あのニットに浮かせたタイ、そしてメガネなんて、女子ウケ間違いないわ。ジャケパンにはぴったりね。でもスーツにはどうなのかな?

【M】スーツにはもう少しハイゲージの方がいいわね。

「ラウンドネックのベストを学生っぽく見せないには、素材にこだわることが大切ですね。黒よりネイビーの方が素材の良さがわかるので、そういうちょっとした知識があると差がでますね。」エストネーション佐藤さん

【M】あのベストを着るなら、ノータイで衿は外に出さずちらっと見せて白を強調する着方も素敵かも。冬のウール素材など少し地厚のスーツなら素材同士の相性もいいし、きちんと感もでるしね。

【K】ノータイでカジュアルに着るのも素敵かも! 白シャツじゃなくても同色とか。それカラーパンツと合わせてもいいわね! レザーのインでもいいし。想像したらちょっとドキドキしちゃったわ。

【A】わかる~クミ、妄想のツボにはまっているわね(笑)。それにしてもお肉美味しい!

【M】ねえ、ところで旬のものを食べるんじゃなかったの?

【K】お肉って旬と関係ない……。

【A】いいの、いいの! 美味しければそれが旬だから(笑)

【今回ご協力いただいた方】

エストネーション メンズPR 佐藤浩貴さん
プレスルームに通された私たちの前に、颯爽と現れた佐藤さん。一瞬モデルさんと勘違いしたほど、スタイルもスタイリングも抜群。その見た目とは裏腹に、親しみやすい笑顔と口調で分かりやすく紹介してくださった最新クローズに、スタッフは感嘆とため息を繰り返しでした。

【男の身だしなみ向上委員会 by re*colabo】

<委員会設立の趣旨>
今の時代、仕事をする上でどれだけ女性の心を掴むかというのは大きなアドバンテージ。そこで、男性の身だしなみを女性たちは実際にどうみているのかを、女性ファッションライターの目線から本音で語ります。身に付けるものは、本人のイメージを左右する重要なファクターであり、気付いていなかったことを改善することにより、改めて身だしなみを整える一歩になれば嬉しく思います。

re*colabo
女性誌出身のクリエイティブ&ライターチーム。これまでに光文社「STORY」、講談社「フォルツァスタイル」など数々の媒体や、書籍で執筆。また、航空会社のオリジナル商品を手掛けるなど、女性ならではの視点で多くのヒット商品を生み出している。その他、女性の心を鋭く分析するマーケティング調査が人気であり、大手化粧品会社ほか、さまざまな企業から依頼を受けている。

マリ(中央)
re*colabo代表。ファッション系出身ライター。「大人だからできる」シックなコンサバを推奨。内面を映すスタイリングに定評あり。

クミ(右)
元バンカーの生真面目ライター。ファッション、グルメ、トラベルなど多岐に渡り執筆。シンプルで「カッコいい」装いが得意。re*colaboで一番マナーやルールに拘りあり。

アキ(左)
人物取材が得意。10代半ばから20代後半まで、フランスとアメリカへ留学。結婚を機に夫の転勤に伴いアメリカにて駐在妻を経験。帰国後ライターに。

photograph:Ayako Nakamura
text:re*colabo