ダイバーズウォッチはその名の通り、もともとは潜水用に開発された特殊な時計だ。深海の高水圧にも耐えるタフな外装と防水性能という基本性能に加え、暗い場所でも読み取れる文字盤や、ダイビング中の経過時間をモニターする逆回転防止ベゼルなどが特徴となっている。
しかし実際には、水に潜る機会が全くなくてもダイバーズウォッチを普段使いする人が多い。優れた実用機能と洗練されたデザインに、メンズウォッチの魅力が凝縮された、まさに「夏の万能時計」と言えるからだ。
名作ダイバーズをリニューアル。オメガの超コスパモデル
PRESIDENT STYLE編集部がお薦めしたい、2018年のダイバーズウォッチ。1本目は、オメガの「シーマスター ダイバー 300M マスター クロノメーター」だ。このモデルは、日本でもよく知られる300m防水のプロフェッショナル・モデル「シーマスター ダイバー 300M」のリニューアルバージョンだ。
高機能なのに買いやすい! セイコーの本格派ダイバーズ
ダイバーズウォッチ規格に大きく貢献したのが、日本のセイコーであることをご存じだろうか。1965年に国産初のダイバーズウォッチを発売して以来、高機能で安全性の高いモデルの開発に努め、自社の性能規格が、やがてJISやISOのダイバーズウォッチ規格に反映されるようになった。
そんなセイコーのダイバーズウォッチは、高機能かつデザインも秀逸でありながら、手頃な値段なのがうれしい。セイコー プロスペックスの「ダイバースキューバ 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン」だ。その名の通り、今から50年前の1968年に発表されたオリジナルのダイバーズウォッチのデザインを継承しながら、現代的なアレンジを施したレギュラーモデルである。
メカ好き、ギミック好きにお薦め! 独自ベゼルを採用したダイバーズ
海に潜るダイバー向けのツールとしてつくられたダイバーズウォッチ。その最大の役割は、潜水開始から何分経過したかをダイバーに正確に伝えることにある。その役割を担うのが、回転式のアウターベゼルだ。ベゼルに大ぶりな分目盛りを設け、それを回転させて分針と連動させることで経過時間を伝える仕組みである。反時計回りにしか回転しないので、潜水時間を正確に伝えられるようになっている。
しかし、アウターベゼルはむき出しなので傷つきやすい。これを解決するために作られたのがインナーベゼルだが、こちらはセッティングをリュウズで行うので、グローブなどを着けていると操作しづらいという難点がある。
アウターベゼルもインナーベゼルも一長一短あるが、そこに一つの解決策を示してみせたのがIWCの「アクアタイマー」である。
カルティエのダイバーズは、エレガントなデザインかつ薄型
「カリブル ドゥ カルティエ ダイバー」。ステンレススティールケース。ケース径42mm。自動巻き。ラバー・ストラップ。300m防水。パワーリザーブ約48時間。85万2500円(税別)Photo 2000 ? Cartier
ダイバーズウォッチは必要な機能がはっきりしているためにどこのブランドのものでも似たデザインになりがちだ。また、どうしてもゴツく無骨な印象になりやすい。しかしカルティエのダイバーズウォッチはひと味違う。
「カリブル ドゥ カルティエ ダイバー」。ダイバーズウォッチらしからぬエレガントなデザインで、厚さも11mmと薄く、日常使いの時計としても十分にスタイリッシュだ。
世界初のダイバーズウォッチを開発した、ブランパンの1本
1735年創業、現存する時計ブランドの中で最も古いとされるスイスのブランパンは、「現代的なダイバーズウォッチの元祖」である。フランス海軍の要請に応じ、1953年に「フィフティ ファゾムス」という初のダイバーズウォッチを開発した。50ファゾムス(=約91.5m)と高い防水性を確保したケースに、潜水中の経過時間を確認する回転ベゼルを装備。ブラック文字盤に夜光塗料を付した針とインデックスを組み合わせたハイコントラストのデザインは、ダイバーズウォッチの原型となったのだ。
そんなブランパンのフィフティ ファゾモスの進化形が、「フィフティ ファゾムス オートマティック」。スタンダードな3針タイプで、ケースの防水機能は300mに向上、耐磁性能も高い。ダイバーズウォッチに欠かせない条件である、「安心して使える信頼性」という点でも抜群なモデルである。
ダイバーズウォッチの個性派中の個性派
複雑さと繊細さの極みともいえるトゥールビヨンで、しかもムーブメントの機構が透けて見える構造。かつダイバーズウォッチとして本当に着けて潜水できる……そんなとんでもない時計があることをご存じだろうか。
それが、アンジェラスの2018年最新作「U50 ダイバー トゥールビヨン」である。機能もデザインも独創的な機械式複雑時計、しかも色使いも凝っている。さらに価格は300万円台と、トゥールビヨンとしては破格の安さなのだ。ダイバーズウォッチ中の個性派中の個性派といえる一本である。
ダイバーズウォッチなのに角形?
ダイバーズウォッチは、ほとんどすべてのモデルがラウンドケースを採用している。パッキンの装着や、ケースの構成部品の気密性という観点から考えてもラウンドケースが最良だからだ。しかし、異例中の異例ともいえる角形ケースのダイバーズウォッチがある。
ベル&ロスの「BR03-92 ダイバー」は、以前からパイロットウォッチに用いてきた角形ケースを土台に、丸い文字盤と回転ベゼルをセットしたデザイン。デザインが個性的なだけでなく、機能的にも本物。ダイバーズウォッチの基準を厳密に定義する国際規格ISO6425を満たす、本物のダイバーズウォッチである。
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