今年のスーツスタイルのトレンドといえば、英国調だ。しかし、あまりにベタな取り入れ方では気恥ずかしい。これまで、特集「シーンで決めるビジネススーツ」として、ビジネスシーン別に、無理のないトレンドの取り入れ方をファッションディレクターの青柳光則さんに指南してもらった。本記事では、紹介してきた10ブランドのスーツスタイルをあらためて振り返ってみよう。
ビジネスシーン別スーツスタイルを一挙公開
色柄やタイのセレクトで上手に英国調を取り入れれば、流行感度の高いビジネスマンとして周囲の評価も上がるはず。さまざまなビジネスシーンを想定し、ここぞという場面で着ていきたい勝負スーツを一挙に紹介する。青柳光則さんによる着こなしのテクニック解説は、下記のリンク先からあらためて読んでほしいところ。ともすると雰囲気を固めすぎてコスプレのようになってしまいがちな英国スーツの着こなしの、抜きどころ、攻めどころを分かりやすく解説していて、必見の内容だ。
【レセプションで失敗しないスーツとは】希代のドレッサーと称されるジェレミー・ハケット氏が手掛ける英国メゾン・ハケット ロンドン。クラシックフランネルを使用したストライプ柄の一着は、古き良き英国服の象徴だ。スーツ15万円、ベスト3万5000 円、シャツ2万6000円(すべてハケット ロンドン) ネクタイ1万9000円(ターンブル & アッサー) チーフ、靴ともにスタイリスト私物
【女性経営者との商談で、好印象を残すには】1938年、NYに創業したポール・スチュアート。英国の服作りを基本に東海岸のセンスを込めたスーツは、世界中のドレッサーが愛用する。このスーツは英国生地を用いた新作。堂々としつつも柔和な表情が魅力。スーツ17万円、シャツ2万6000円、ネクタイ1万5000円、チーフ6500円(すべてポール・スチュアート) バッグ30万円(三陽山長)
【海外からの客人を迎えるのにふさわしい服装は】創業1893年の英国の老舗ダンヒル。伝統の仕立てによる本格スーツは、着るだけで風格が滲む。写真の一着はグレーのなかでも清涼感を備えたブルー味のある新作だ。スーツ39万円、シャツ3万1000円、ネクタイ2万3000円、チーフ1万3000円、靴17万1000円、カフリンクス3万6000円、ノートブックカバー5万6000円(すべてダンヒル)
【競合とのプレゼンで、やる気と自信を示すには】1899年に創業したヒッキー・フリーマンは、歴代の米国大統領が着用したことで知られる名門。このスーツはニュージーランド産の厳選ウールを使用。上品な温かみを感じさせる起毛仕上げが優雅な印象を生む。スーツ23万円、シャツ・参考商品、ネクタイ1万8000円(すべてヒッキー・フリーマン) チー フ、靴ともにスタイリスト私物
【立食パーティで異業種との親交を深めるには】国内服飾の老舗であるオンワード樫山が展開するジェントルマンズブランド。英国的な大柄チェックの新作スーツは、イタリア製の逸品生地を使用。男性的な風格と同時に、しなやかかつ軽快な着心地を実現している。スーツ15万円、シャツ1万1000円、ネクタイ8900円、カラーバー3000円、チーフ4500円(すべて五大陸 )
【業界団体との会合で、重鎮に気に入られるには】ハイクラスのオーダースーツが楽しめる麻布テーラーの最上位ブランド、クレスト。服地のみならず副資材にも最高級を求め、熟練職人が仕立てる一着はビジネススーツの理想形といえる。スーツ35万7000 円(オーダー価格/麻布テーラー クレスト)、シャツ2万1000円、タイ8500円、チーフ3500円(すべて麻布テーラー)
【社内で毅然としたリーダー像を演出するには】英国で160年以上にもわたる歴史を誇るアクアスキュータム。グレンチェックと呼ばれる格子柄の一種であるプリンス・オブ・ウェールズ柄が特徴。遠目には無地に映る、繊細かつ控えめな柄が好印象だ。スーツ13万円、シャツ2万4000円、ネクタイ1万8000円、チーフ8000円(すべてアクアスキュータム) 手に持ったペン5万9000円(ダンヒル)
【カジュアルデーに大人の雰囲気を維持するには】ドレッシーなピークトラペルに、サヴィルロウ的なチェンジ&スラントポケットを備えた堂々たるフォルムのボスのスーツ。ここに柄立ちが明瞭なグレンプレイドを乗せることで、トレンド感とほどよいカジュアル感を漂わせてくれる。スーツ16万5000円、シャツ1万9000円、クラッチバッグ5万6000円、ニットタイ・参考商品(すべてボス) ポケットチーフはスタイリスト私物
【出張の着回しと移動時の寛ぎを両立するには】ブルックス ブラザーズにもジャージー素材のジャケットが登場。よくある杢調の無地ではなく、千鳥格子柄に織られているところがメゾンなりのブリティッシュトレンドの解釈といえるだろう。ペイズリー柄のネクタイも、英国紳士的なアクセント。ジャケット8万9000円、ベスト2万6000円、シャツ1万6000円、パンツ2万6000円、ネクタイ1万4000円、チーフ6000円(すべてブルックス ブラザーズ ジャパン)
【出張先で、連日続く会議で印象を変えるには】英国スタイルをベースにしたアメリカントラッドをモダンに昇華するポロ ラルフ ローレンは、スーツはもちろんカジュアルウェアにも定評がある。それゆえスーツにカジュアルなニットを差すコーディネートも、ほどよく肩の力が抜けた雰囲気を醸し出せるのだ。スーツ13万5000円、シャツ1万5000円、ニット1万8000円、ネクタイ1万4000円、リネンチーフ 1万7000円(すべてポロ ラルフ ローレン)
text:PRESIDENT STYLE
styling:Mitsunori Aoyagi(Hamish)
photograph:Ryohei Watanabe
hair & make:Akira Nishihira
model:Kenji Kureyama(BARK IN STYLE)